熟年離婚で“幸せになった女性”がしていたこと #6 「話し合いができない相手の場合」

どんな場合でも離婚は簡単ではありませんが、特に配偶者と長く生活を共にした後の「熟年離婚」は、ひとりになった後の人生が大きく変わります。

年齢が高くなると、よりクローズアップされるのが仕事やお金の問題であり、離婚後に自立して生きていけるかどうかが最大のハードル。

熟年離婚で幸せになった人は、シビアな現実を正面から見て最大限の努力をしています。

実際にどんな考え方で離婚やその後の生活と向き合っているのか、実録でご紹介します。

「過去に会社の女性と不倫していた元夫。

発覚したときは相手の女性が慰謝料を払い、『離婚したくない』の一点張りだった元夫も数万のお金を渡してきて、解決しました。

許せなかったのはその後の元夫で、数年はおとなしかったものの一人娘が高校生になるとこっそりキャバクラに通うようになり、金遣いの荒さを不審に思いスマホをチェックしたら、そこで働いている女性と『会いたい』『デートしたい』とLINEでやり取りをしていました。

それを責めたら『人のスマホを見るとか失礼だとは思わないのか』と筋を変えて反論してきて、その挙げ句娘に対して『お母さんは心が狭い』と言い放ったので、離婚を決めました。

不倫発覚以来の私と元夫の不仲は娘もずっと気がついており、父親のしたことを正面から言うことは気が引けて避けていて、このときに離婚するつもりであることだけは伝えました。

娘は驚きながらも『あなたが大学に進学してから』と言う私の言葉に安心したようにうなずいてくれました。

私は正社員としてずっと働いているのである程度生活のめどは立ち、問題は娘の学費や生活費、離婚するときにこれだけはきちんと決めておかねばらないと思いました。

娘が無事に志望校への進学を決めたとき、元夫は私に向かって『これからはお前と暮らすのか、気が重いな』とため息をつき、『私は離婚するつもりだから』と返したら『そんなことできないだろう』とまったく意に介さなかった様子を今でも覚えています。

いざ離婚を切り出すと案の定元夫は大反対、『絶対に許さないからな』と威圧してくるので弁護士事務所に駆け込みました。

弁護士への依頼は以前から考えていたことで、代理人になってもらった際にかかる金額なども計算しており、財産分与に関する書類なども集めていたため話がスムーズだったのはよかったです。

ネットで調べて知った離婚問題を多く扱っているという女性の弁護士は、私の話を丁寧に聞いてくれて『ずっと準備をされてきたのですか』と私が出した資料に目を通し、『本気なのですね』と依頼を受けてくれたことは、感謝しています。

実家が県外で今すぐ出ていく先のない私は大急ぎで別居の準備に入り、冷え切った家のなかで元夫の気配を感じながら生活した2ヶ月は本当に苦しかったです。

弁護士から代理人になった旨の通知を受け取った元夫は『何だこれは』とまた怒鳴り散らし、『だから、離婚したいの』と言い返しましたが、このときに元夫も私の本気度を理解したと思います。

別居後は元夫の存在のない空間で息をすることが本当に幸せで、財産分与の交渉は弁護士が続けてくれているので元夫と連絡を取り合う必要もなく、依頼したのは本当に正解だったと今でも思っています。

弁護士から聞く元夫の様子は予想外に落ち込んでいる感じで、法律や常識に従って提案する弁護士には勝てないとわかったのかもしれません。

親権は私で争いはなく、娘の学費や生活費はお互いの収入から折半して払うこと、財産分与は半分と私の思惑通りに決まり、離婚が成立しました。

娘に電話で報告したら、複雑そうな声色ながらも『お母さんがそれでいいのなら』と返してくれて、心配をかけたことは本当に申し訳なく、自立してしっかりと生きていこうと思います。

話し合いができない相手には外部の力を頼ることも重要なのだと、友人たちには話していますね」(48歳/営業)

離婚を切り出して、そのまま受け止めてくれる配偶者なんてそうそういないのは当然ではありますが、話し合いすら難しくなると自分だけでは離婚を進められません。

そんなとき、弁護士のように専門の知識を持つ人を頼るのは、相手にとっても冷静さを取り戻す機会であり、少しでも満足する結果を得るためには必要だと感じます。

離婚に第三者を入れることを嫌う人も多いですが、スムーズな話し合いのためには外部を頼ることも忘れない柔軟さが、自分のためといえます。

(ハピママ*/ 弘田 香)

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