核兵器禁止条約の締約国会議が閉幕 渡米した広島の女子大生の思い

ニューヨークで行われた核兵器禁止条約の締約国会議は核保有国や、戦争被爆国の日本が不在のまま閉幕しました。現地で活動した広島の大学生の思いに迫ります。

ニューヨークの日本領事館前。核兵器禁止条約の第2回締約国会議にあわせ、被爆者や若者などが核兵器廃絶を訴えました。

核兵器の開発や使用などを禁じる核兵器禁止条約は、2021年に発効しました。93の国と地域が署名していますが、核保有国や日本は参加していません。

日本政府に会議へのオブザーバー参加を求めてきたのが、広島市立大学1年生の大内由紀子さんです。

福山市出身の大内さん。高校生平和大使として、2022年にオーストリアで開かれた第1回締約国会議にも参加しました。

今回の渡米前には、被爆者のもとを訪ねました。川野登美子さんは、原爆の子の像のモデルになった佐々木禎子さんの親友でした。

■被爆者 川野登美子さん

「千羽鶴折っても願いが叶わなかった禎子さんの無念を伝えて、平和の象徴として世界から見てもらえたらいい」

大内さんは、川野さんの思いを乗せて現地でスピーチしました。

■広島市立大学1年 大内由紀子さん

「彼女たちが3歳の時、広島に原爆が落とされました。佐々木禎子さんは12歳の時、突然倒れ、入院しました。禎子さんの友人の登美子さんは結束して忍耐強く行動することが大切だと言っています。小さな積み重ねによって大きな変革を生み出すことができるのです。核兵器禁止条約にも同じことが言えます」

会議は、核抑止論が核軍縮の進展を妨害しているとして脱却を求める宣言を採択し、閉幕しました。

アメリカの「核の傘」に依存するドイツなどがオブザーバー参加した一方、今回も日本の姿はありませんでした。

■広島市立大学1年 大内由紀子さん

「(日本が)オブザーバー参加せず大変残念に思っています。海外に向けても核兵器の非人道性をアピールしていく必要があると感じました」

核保有国が不在のまま行われた締約国会議。次回は、2025年3月に開催される予定です。

【2023年12月4日放送】

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