市が除雪→国・県が排雪 「スクラム除雪」青森市道の一部幹線で試行へ

 宮下宗一郎知事は4日、今冬からの新たな雪対策として、青森市が市道の幹線道路の除雪で寄せ集めた雪を国や県が排雪する「スクラム除雪」を試行すると発表した。豪雪時はダンプトラックが不足し排雪が滞りがちになるが、国や県が雪捨て場への運搬を一部肩代わりすることで効率化・迅速化を図る。本年度は青森市内の2カ所程度でスタートし、作業効率化や経費削減の効果を検証した上で、来年度以降に津軽地域をはじめとする全県に取り組みを広げたい考え。

 同日の定例記者会見で、モデル事業の概要を明らかにした。

 除排雪は国道は国、県管理道路は県、市町村道は市町村がそれぞれ担当している。

 排雪はそれぞれがダンプトラックを手配して行うが、豪雪時に手配が集中すると交通量の多い国道や県道が優先されるため、市道に排雪トラックが入るまで時間がかかるのが課題となっている。

 新たな取り組みでは、除排雪のタイミングを合わせることで、国や県の排雪トラックに市道の雪も積み込めるようにする。県道路課によると、国、県、青森市が除排雪で本格的に連携するのは今回が初めて。

 初年度は国道と市道幹線道路の接続箇所、県道と市道幹線道路の接続箇所をそれぞれ1カ所ずつモデル地域へ選ぶ方向で検討している。通学路の安全確保も兼ね、小学校周辺などを候補とする。県は地域が決まり次第、改めて発表する。初回の排雪協力は年明けになる見通し。排雪にかかる費用は、国や県が市に請求する方向で検討している。

 宮下知事は記者会見で「知事選に向けた活動の中で、青森市民から雪に関する課題を多く聞いた。何とかしなきゃいけないという思いがずっとあり、夏ごろから国土交通省や市に呼びかけていた」と説明。「スタートは小さい(地域、回数が限定される)ので、どこが変わったんだと言われるかもしれないが、連携のスタートを切り、これから大きく発展させたい」と展望を語った。

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