能登はとむぎ茶、中国輸出10倍 JAはくい契約、処理水なんの10万本

ホテルの客室用に「能登まるごとはとむぎ茶」を用意する従業員=中国江蘇省(日本HIG提供)

  ●高級ホテル向け、美肌効果評価

 JAはくいは4日までに、羽咋市と宝達志水町の特産ハトムギを使用する「能登まるごとはとむぎ茶」の中国輸出で10万本の契約を成立させた。これまで1万本程度だった輸出量が大幅に増えることになり、同JAは美肌効果がある健康飲料の評価の高まりに手応えを得ている。ただ、福島第1原発処理水の海洋放出に伴う中国の輸入規制強化で取引の先行きに懸念もあり、台湾やハワイなど新たな海外市場の開拓も目指す。

 10万本の契約は、中国の高級ホテルのアメニティー用として日本の商社・日本HIG(東京)と結んだ。卸先のホテルは江蘇省を中心に複数あり、計3700室で毎日、羽咋のハトムギ茶が利用客を迎えることになる。

 JAはくいによると、ハトムギは中国で古くから肌をきれいにする漢方薬として用いられ、加工品の人気が根強い。現在、水産物など日本からの輸入が規制される一方で、地域色の強い食品の需要は高く、担当者は「日本の目新しいお茶を求める現地のニーズとうまく合致した」と話す。

 500ミリリットル入りペットボトルの商品を3回に分けて輸出する計画で、初回の3万本は出荷済み。「独特の甘みがおいしい」「日本らしいパッケージがよい」といった評価が届いている。

 JAはくいはハトムギ茶の中国輸出を2017年度から始め、18年度は約1万本を出荷した。国内価格の2倍に当たる1本約300円で取引されている。新型コロナの影響で出荷量はいったん半分以下に落ち込んだが、コロナ禍が落ち着いて回復の兆しが見えていたタイミングでの大口契約に、「ライバル業者が多い中で選ばれたことは自信になる」と担当者は喜ぶ。

  ●台湾、ハワイにも

 JAはくいは、さらなる販路拡大へ売り込みを掛ける。年明け1月には台湾の高級スーパーとの商談会に赴き、2月ごろには初めてハワイでPRする予定だ。

 中国では政治情勢によって輸出に影響が出る懸念があり、実際、処理水放出への反発で今回の輸出時期もやや遅れが生じたという。JAの担当者は「開拓した販路をどのように継続させるかが課題。中国以外からの注文獲得も進める必要がある」と話した。

 ★能登まるごとはとむぎ茶 JAはくいが2010年度にハトムギの特産化を目指して販売を開始した。風味豊かで香ばしい味が特長。中国・上海の富裕層などをターゲットに輸出される。輸出を含めた年間出荷量はコロナ禍前まで60万本前後で推移していたが、昨年度は43万本だった。

JAはくいの「能登まるごとはとむぎ茶」

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