トヨタ陣営から参加の大湯都史樹「こういう機会をいただけるとは思ってもいなかった」【SFテスト前日情報(1)】

 12月6日(水)から三重県の鈴鹿サーキットで始まるスーパーフォーミュラの合同/ルーキーテスト。冷え込む曇天となった5日の鈴鹿では、翌日からの走行に向け各チームがマシンの整備とピットの設営作業を進めていた。

 すでに日本レースプロモーション(JRP)から発表されているエントリーリストのとおり、今回のテストには総勢32名ものドライバーが参加することになっている。海外勢含めルーキーが多いことも今回の特色だが、2023年とは異なるチームからテストに臨むドライバーもいる。

 そのなかの注目のひとりは、大湯都史樹だ。

 2023シーズンはホンダ陣営のTGM Grand Prixから参戦した大湯は、2度のポールポジションを獲得したほか、第7戦もてぎでは3位表彰台に上がる活躍を見せた。しかし、鈴鹿での最終大会を前に突如欠場を発表。その後、2024年の去就についてはさまざまな噂が流れた。そんな中、12月4日に発表されたエントリーリストでは、トヨタ陣営のP.MU/CERUMO・INGINGの38号車をドライブすることが明らかとなった。

 テスト前日、鈴鹿にはセルモインギングのウェアを着て、チームスタッフと打ち合わせをする大湯の姿があった。

「本当に急きょ決まった話で、このチームからテストで走らさせていただくことになりました。最終的な行き先がどこになるかは分からないですが、まずはテストで走らせてもらえるというのはありがたいですね」と大湯。スーパーGTを含めてトヨタ陣営への移籍が濃厚と見られるが、まだ正式発表前ということもあってか、多くは語れないという様子だった。

 それでも、今回38号車でテストに参加すると決まったのは“直前のこと”だったのは確かなようだ。「シートは今まで使ってきたものを流用する形をとっています。それで何とか準備が間に合っているという感じです」と、大湯自身もバタバタな状態で準備を進めてきたことを認めている。

 今までとは違うチームでの出走について「勝手が違うところはあると思います」と大湯。まずは38号車やトヨタエンジンのキャラクターを把握することに努めたいと語る。

「当然エンジンも(ホンダとトヨタで)違うんですけど、クルマづくりのコンセプトも大きく異なるのではないのかなと思っているので、まずはそこを感じる1日目にしたいなと思っています。とはいえ、今回から共通ダンパーになるので、そこも未知数な部分があると思いますが、とにかく今までと違うことは確かなので、ひとつひとつ感じながら進めていければなと。少しずつ慣れていき、こなしていきながら1日目を終え、2日目はフィードバックを含めて、しっかりと貢献できればなと思っています」

 これまで外から眺めてきたチームの印象を聞くと、「1年前(2022シーズン)は若干低迷していたイメージがありましたが、そこから立て直して徐々に上がってきていますし、今年坪井(翔)選手は常に上位にいるイメージでしたから、非常に強力なパッケージだと思っています」と大湯。

 大湯のテスト参加について立川祐路監督は「うちは、しばらく坪井と(阪口)晴南でやってきましたけど、(大湯は)他のチームのクルマも知っているドライバーなので、そこでの違いとか、新しい発見や意見みたいなものがあれば、うちにとってもプラスになると思います」と、彼の働きに期待を寄せていた。

 大湯自身は「(テストに参加できることは)率直に嬉しいですし、こういう機会をいただけるとは思ってもいなかったので、この2日間を有意義に過ごして、少しでもチームに貢献したいです」と意気込む。2日間のテストで、どのような走りを見せるか注目だ。

2023スーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト 大湯都史樹(P. MU/CERUMO・INGING)

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