全国初「地域旅客船安全協議会」設置 長崎のクルーズ5社 気象情報共有、安全運航目指す

波高や風速などの情報を共有するグループLINEの画面

 長崎市の軍艦島(端島)クルーズの運航事業者5社でつくる「軍艦島観光船協議会」(会長・伊達昌宏やまさ海運代表取締役)はこのほど、より安全安心な運航を目指すため「地域旅客船安全協議会」を設置した。長崎運輸支局によると、設置は全国第1号。運航の可否判断に必要な気象情報の共有を始めた。
 地域旅客船安全協議会の設置は、昨年4月に北海道・知床半島沖で起きた観光船沈没事故を受け、対策検討委員会がとりまとめた施策の一つ。国が全国的に設置を推進しており、同じ港を拠点とする複数の事業者が国に設置を届け出る。
 伊達会長によると、軍艦島観光船協議会は上陸が解禁された2009年度に発足。見学施設利用時間の調整や緊急時対応訓練などに合同で取り組んできた。
 悪天候時、運航するかどうかは各社で判断している。11月からは、近海の波高や風速、運航か欠航かなどの情報をグループLINE(ライン)を使ってリアルタイムで共有。伊達会長は「相互チェック体制が構築され、状況が分からない中での無理な運航がなくなった。安心して乗ってほしい」と話した。
 市によると、軍艦島上陸者数は17年度の約29万人がピーク。本年度は11月末時点で12万671人となっている。

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