国際クルーズ拠点 供用開始へ 浦頭地区ターミナルビル 佐世保市が暫定運営

2024年3月に供用開始することが固まった国際クルーズ拠点のターミナルビル=佐世保市針尾北町

 長崎県佐世保市が、佐世保港浦頭地区の国際クルーズ拠点のターミナルビルを2024年3月から供用開始することが5日、分かった。関係者と最終調整を進めている。本来、管理運営するのは世界最大手のクルーズ会社カーニバル社の傘下企業だが、市が暫定的に担う。20年に完成したが、新型コロナウイルス禍で定期的な寄港が見込めず、供用開始が遅れていた。
 ターミナルビルは同社と市、国が整備した。同社が中国などを発着するクルーズで、日本国内の拠点港として優先的に予約できる。
 ただ同社は中国発着クルーズの運航を再開する予定が数年先までなく、ターミナルビルの供用開始に慎重な姿勢を崩していない。一方、経済活性化などにつなげたい市は早期の供用開始を目指しており、国際クルーズ船の寄港が増えている状況を鑑みて判断したとみられる。
 市が無償で同社からターミナルビルを借り受けて運営する。調整が整い次第、同社と契約を結ぶ。契約期間は26年3月31日まで。運営費には、クルーズ乗客から徴収するターミナル使用料を充てる。
 クルーズ船の寄港を巡って国は25年に寄港数を新型コロナ禍前の水準に戻す目標を掲げている。佐世保に寄港したのは23年は20隻だが、最多だった18年は108隻に上っていた。市はクルーズ事業推進室を新設するなどして誘致に力を入れており、三浦、浦頭両地区で受け入れ態勢を整えることで、誘致に弾みがつくとみられる。

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