賃上げを「実施」9割超 来年度も実施予定 長崎県内企業アンケート

 十八親和銀行系シンクタンクの長崎経済研究所(長崎市)は、賃上げに関する長崎県内企業アンケートの結果をまとめた。回答した153社の9割以上が本年度に賃上げを実施。来年度も実施予定または検討中と答えた企業が9割以上を占め、前向きな姿勢がうかがえる。
 アンケートは10月、県内主要372社に実施。製造業42社、非製造業111社が回答した。
 本年度に賃上げしたのは145社。複数回答で内容を聞くと、「定期昇給」が94社(64.8%)で最多。「ベースアップ」84社(57.9%)、「パートなどの賃金増額」46社(31.7%)、「賞与の増額」38社(26.2%)、「初任給の増額」37社(25.5%)-と続いた。賃上げ率は「1~3%未満」が半数近い71社に上り、「3~5%未満」が38社、「5%以上」が22社だった。
 賃上げの際に重視した項目を複数回答で聞くと、8割の116社が「労働力の定着・確保」と答えた。次いで「物価上昇への配慮」が87社、「最低賃金の引き上げへの対応」が57社と目立った。一方、賃上げしなかった8社は原材料やエネルギーの価格高騰を理由に挙げた。
 来年度に賃上げを予定または検討中としている企業は146社。このうち「定期昇給」が95社(65.1%)、「ベースアップ」は77社(52.7%)。その程度は「本年度と同程度」が60社で最も多かった。
 同研究所の泉猛主任研究員は「賃上げの動きが広がっているのは、従業員の定着や士気高揚など防衛的な理由が大きいようだ。今後、企業の収益向上と従業員の賃上げの好循環につながるよう期待したい」としている。

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