酷暑乗り越え、新酒の仕上がり良好 6代目当主「香り高くこく深く」 兵庫・三田の「岡村酒造場」

新酒を手にPRする6代目当主の岡村理恵さん=三田市木器

 130年超の歴史のある岡村酒造場(兵庫県三田市木器)で、新酒の販売が始まった。今夏の酷暑は酒米にも影響し、仕込みの時期になっても異例の暑さが続いた。6代目当主の岡村理恵さん(47)は「どうなるかと思ったけど、香りよく仕上がってほっとしている」とほほ笑む。(土井秀人)

 1889年(明治22年)創業。家族で営む小さな蔵で、昨年、岡村さんが6代目を継いだ。岡村さんは本年度の市技能金蘭賞を受賞している。酒米「五百万石」は自前の田んぼで栽培し、酒造りは近所の人たちも手伝ってくれる。

 11月1日から仕込みを始めた。酵母の働きによって造られる酒は「生き物」であり、温度管理が重要となる。大手のように空調設備が整っておらず、激しい気温の変化に振り回されたという。蔵の中の温度が上昇すれば、タンクの周囲に巻いた管に冷却水を通して冷やし、適温を保った。

 11月下旬から搾り始め、仕上がりは良好。現在は3種類を販売しており、いずれも無ろ過で加熱処理をしていない「生酒」で、生きた酵母の新鮮な味と香りが楽しめる。普通酒「しぼりたて」はきりっとした辛口で900ミリリットル1280円。こくがある純米酒「三田しぼり」は900ミリリットル1500円。甘口で上品な本醸造酒の「有馬しぼり」は720ミリリットル1140円となっている。

 今月中旬には古代米を使った「古代しぼり」、来年1月下旬には、ろ過した生純米酒「三田壱」も販売する。岡村酒造場での販売のほか、電話やメールでの注文も受け付ける。TEL079.569.0004

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