近藤真彦監督が高星明誠&名取鉄平のSFテスト起用について説明「この経験がスーパーGTに活きれば」

 12月6〜8日にかけて鈴鹿サーキットで開催されているスーパーフォーミュラの合同/ルーキーテスト。今年は海外ドライバーの参加も多いほか、レギュラーシーズンでは他チームで走っていたドライバーを起用する陣営も目立つなど、例年以上に注目度の高いテストとなっている。

 そんな中、近藤真彦監督率いるトヨタエンジンユーザーのKONDO RACINGは、1日目・2日目を2023年のレギュラードライバーである山下健太と小高一斗が担当し、ルーキードライバーのみが参加できる3日目には、高星明誠と名取鉄平という、スーパーGTでニッサン陣営に所属するドライバーを起用することが、エントリーリスト発表時に明らかとなった。

 なお、高星は今年、日本レースプロモーション(JRP)のカーボンニュートラル開発テストで、トヨタエンジンを搭載するSF23開発車両をドライブしている。

■「メーカーの垣根を越える」を実践

 今回の2名の起用に関して近藤監督は「意図としては……遠回しに狙っていることなのですけど、『メーカーの垣根を越える』というのを、口にするだけではなくて現実的にしていきたいという想いから、ニッサンドライバーふたりを(ルーキー枠限定セッションで)乗せることにしました。テストデーの大事な1日を、彼らふたりに預けられるというのは、僕もすごく誇りに思っています」と説明する。

 今季から日本レースプロモーション会長にも就任した近藤監督は、自ら率先して“メーカーの壁”を取り払うことにも取り組んでいこうと考えているようだ。

 もちろん、これに関してはニッサン/NMC側の了承も得ているとのこと。「ニッサンさんと話もして『ぜひ、お願いします。どうぞふたりを使ってください』というお墨付きもいただきました。もちろん、ふたりも喜んでいました。これが、いつの日かレギュラードライバーにスイッチできるような時期がくればいいな……と思っています」と近藤監督。

 まだトヨタから正式発表はないが、パドック内での噂をまとめると、来季もKONDO RACINGは山下と小高の体制で継続することになりそうだ。

 他チームでは、ルーキードライバーを初日から起用しているところもあるが、KONDO RACINGは前半2日間をレギュラー2名に任せ、ルーキーのみが走れる3日目に高星と名取を起用するというプランだ。なお、スーパーフォーミュラ参戦経験があっても、決勝出走が4レース未満であれば『ルーキー』扱いとなり、今回のテスト3日目にも参加することができる。

「多少お金はかかりますけど、スーパーフォーミュラで得た経験が、スーパーGTに活きればなと思っています。特に高星は開発ドライバーでスーパーフォーミュラに乗っていて、その速さが活きているなと感じます」と近藤監督。レーシングドライバーとしてのスキル向上はもちろん、より多くのドライバーたちがスーパーフォーミュラに乗るチャンスに繋がれば、とも考えているようだ。

「今まで、ニッサンドライバーはそこを経験させてあげられなかった部分もあります。あのふたりが(テストに)乗ることで、これから出てくる若手のニッサンドライバーたちにも、いつかスーパーフォーミュラに乗れるチャンスが出てくるかもしれないですし、すごくいい刺激になると思います」

「名取に関しても、一時期ヨーロッパのF2に乗るくらいの勢いがあったので、心配はしていないです。彼は最近(フォーミュラに)乗っていないところもありますけど、この話をした時は目をギラギラさせていました。やっぱり(SFに)乗るのと乗らないのでは大きく違うので、そこで成長してもらって、GTで活躍してもらえればなと思います」

「もちろん健太や小高にしても、3日目に登場するルーキーに抜かれちゃ困るから、必死にやっています。お互いにすごく良い刺激になったと思います」

 今回はシーズンオフのテストにも関わらず、初日から多くのファンが来場。一時は入場チケットを求めてメインゲート前に列ができたそうで、インターバルに行われたオープンピットでも、長蛇の待機列がパドック内にできていた。今回は、パドック内に一部規制されたエリアはあるものの、入場料金のみで入ることが可能。ドライバーもサインや写真撮影など、ファンと交流する姿が各所で見られている。

 今季はJRP会長としても活躍した近藤監督は「もちろん、レースでお客さんが入ってくれるのが一番嬉しいのだけど、こうして海外から多くのドライバーが『テストに乗せてくれ!』と手を挙げてやってきてくれていることが、すごく嬉しいです。スーパーフォーミュラが注目されてきているから、良いことですよね。僕も1年間頑張ってきて良かったなと思います」と笑みを浮かべていた。

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