宝塚歌劇団員死亡 遺族側「主要なパワハラは15ある」 LINEやり取りなど劇団に提出した証拠公表

宝塚大劇場=宝塚市栄町1

 宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の俳優の女性(25)が9月に急死した問題で、遺族の代理人弁護士は7日、東京都内で会見を開き、上級生らのパワーハラスメントがあった証拠として、女性と母親とのLINE(ライン)でのメッセージのやりとりなどを公表した。これらを含む意見書を5日付で歌劇団に提出したと明らかにし、パワハラを認めなかった歌劇団側の調査報告書を誤りだと批判した。

 遺族側は、新人公演のまとめ役だった女性に対して歌劇団が過剰業務を課し、上級生が執拗に叱責したことがパワハラに該当すると主張している。

 遺族代理人を務める川人博弁護士らが会見。遺族側が主張している主なパワハラは15に上るとし、意見書のほか、女性と演出家や上級生、母親とのラインでのやりとりなどを示した。

 意見書によると、女性は9月1日、新人公演の配役の連絡を巡って上級生から叱責されたという。2日には上級生3人が稽古終了後に女性を呼び出し、「責任を取れ」「もう後がない」などと怒声を浴びせたと指摘した。

 その後、2日午後11時50分ごろに「まだかえれんわ」「上の人おるから」と母親にラインでメッセージを送信。翌3日には「ごめんなやめたいやめたいいって」「もう決めたから」「結構きつくて」などと追い詰められた心情をつづっていた。

 遺族側はほかに、女性が2021年8月、上級生にヘアアイロンで額にやけどを負わされたと主張。女性は当時、ラインで母親に「わざとな気がする」「さいあく」などとメッセージを送信しており、意見書には、痕が残った額の写真や医師の見解なども添えて提出したという。

 川人弁護士は、劇団を運営する阪急電鉄の親会社、阪急阪神ホールディングス(HD)の角和夫会長の責任にも言及。「企業トップとして、責任を果たしてもらいたい」と会見への出席や遺族への直接の謝罪を求めた。

 一方、宝塚歌劇団は「意見書や会見の内容等も踏まえて改めて事実関係の精査を行う。ご遺族に改めて正式な謝罪を申し上げる機会をいただけるよう努める」とコメント。阪急電鉄は「ご遺族の気持ちや考えを真摯に受け止め、引き続き誠実に対応する」などとした。

 遺族側と歌劇団側の次の面談交渉は12月後半を予定している。(末永陽子)

© 株式会社神戸新聞社