岩手の養殖ホタテに続く「海の異変」 出荷8割減の漁業者も

養殖したホタテの出荷作業に当たる隆勝丸の従業員ら。「海の異変」によって大量死し、苦境に立たされている=11月29日、宮古市崎鍬ケ崎・日出島漁港

 岩手県沖で出荷の自主規制が続く養殖ホタテガイが大量死している。黒潮続流が北上し海水温が上がった影響とみられ、ホタテを「稼ぎ頭」に据える養殖漁業者は出荷が8割ほど減り悲鳴を上げている。サンマ、秋サケと歴史的な不漁が続く中、今年は宮古、山田両湾で本来見られないはずの伊勢エビが相次ぎ見つかった。浜の関係者は「海の異変」に頭を悩ませる。

 寒風が吹く宮古市崎鍬ケ崎の日出島漁港。ホタテ養殖を手がける隆勝丸の従業員らが、成貝の出荷準備にいそしんでいた。

 「18年漁業をしていて、こんな年は初めてだ」

 代表取締役の平子昌彦さん(43)は肩を落とす。来年度、40万枚の水揚げを予定していたが7~8割ほどが死に「壊滅状態」なためだ。稚貝もほとんど採取できず、今後2年間の生産の見通しも立たない。

 まひ性貝毒によるホタテガイの出荷自主規制は今年、2月の釜石湾海域を皮切りに一時、全12海域に拡大。県漁連によると大槌湾、釜石湾、大船渡湾西部の3海域で続いている。

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