「振り出しに戻った方がいい」「まだ分からないこともたくさん」「暖かくなるまで待ちます」【SF Mix Voices 合同テスト】

 全日本スーパーフォーミュラ選手権の2023年合同/ルーキーテストが12月6日より鈴鹿サーキットで行われている。テストは1日目と2日目が経験を問わず参加でき、3日目はルーキー(SF決勝出走が4戦未満のドライバー)のみが出走可能。今回のテスト全体では、じつに32名のドライバーがエントリーしている。

 レースウイークと同じく、各日のセッション終了後にはドライバーがメディアに対応する“ミックスゾーン”が設けられている。ここではテスト2日目、すでにSFに参戦経験のあるドライバーが一堂に会したミックスゾーンから、彼らの声をお届けする。

■小林可夢偉(Kids com Team KCMG) 総合1番手

 2023年シーズンと同じく、Kids com Team KCMGからテストに参加している可夢偉。2日目午前のセッション3を終えた時点で話を聞いたが、悪い意味で「ハマっている」と可夢偉は現状を表現した。

「18号車のふたりは自分好みに(セットアップを)やっていくプログラムなんですが、僕はどちらかと言ったら来年に向けてどういうクルマを作るか、という部分をやっています。でも、だんだんと自分自身がハマってきたみたいで……」

「いろんなことをやっているなかで、何が正しくて何が間違っているのか分からなくなったので、ちょっとこれは一度振り出しに戻った方がいい、という気がして、いまいったん(クルマを)戻しています」

 共通ダンパーを含め、いままでにない状態でクルマを走らせるなかで「ちょっと欲をかいたようなことをやっている」そうだが、それがうまく機能していなかった模様だ。

 そのダンパーについて可夢偉は「正直、僕らはそこまで違いを感じていません。それが本音です」という。

「(選択肢の)幅が広かったらいろいろと試さなければいけませんが、このダンパーしか使えないとなったら、その中でどうやるか、だけ。僕らとしてはシンプルにしてくれたのでやりやすい。ドライバーとしても、たとえば他のチームで乗ることになった時でも(モノが同じであれば)『僕はこういうダンパー(のセットアップ)が好みです』って言いやすい(伝えやすい)じゃないですか」

 2日目午前のセッション3序盤では最終コーナーでコースオフするシーンも見られたが、タイヤが冷えていたことと、エンジンマップの変更を知らなかったこと、また「エンジンのタービンが冷えていて、それで急激にドーンと(トルクが)来て」スピンしてしまったとのことで、大きな問題ではなかったようだ。

 なお、このテスト後すぐにFIAの表彰式出席のためアゼルバイジャンのバクーに向かうことから、可夢偉のミックスゾーン対応は2日目の昼に行われた。この取材のあと、可夢偉はセッション4で全体ベストタイムをマークしていることから、事態は好転したようだ。

■山下健太(KONDO RACING) 総合4番手

 山下は今回のテストも2023年シーズンに引き続き、KONDO RACINGから参加した。初日からトップ5に名を連ね、セッション4では初日の自己ベストから0.885秒縮めることに成功し、良いかたちで一年を締めくくることができたようだ。

「2024年から新しいダンパーに変わるので、それをメインに一番良いところを探りながら研究していました。いろんなことを試して、最終的に良いものを最後のセッションに入れて、最後トップは取れなかったんですけど、まずまずこのテストはいい感じで終えられたと思いますが、冬のテストは大概当てにならないので……」

「一年間乗ってきて冬のテストで速いときも散々あったなかで、これがこのままいくとは思っていませんが、このまましっかり夏のグリップしないときでも、活躍できるようにしたいと思います」

 2023年は第2戦富士で3年ぶりの表彰台を獲得した山下だが、以降は表彰台に上がれずに苦しんだ。2024年は“真の復活”を期したいところだろう。

2023スーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト 山下健太(KONDO RACING)

■小高一斗(KONDO RACING) 総合22番手

 レギュラー参戦一年目を終えた小高は、今回のテストではセッションごとにタイムを縮めてはいたものの、「何をしてもうまくいかない」というほどの苦境に陥り、やや悔いが残るままの状態でテストを終えることとなったようだ。

「(テストメニューは)別々というか、3号車は3号車、4号車は4号車みたいな感じでやっていましたが、僕はもう終始調子が悪くて……。鈴鹿は2023年をとおして一番良かったときがあったサーキットでもありますし、自分としても多少自信はありました。もう少し走れるとは思っていたのですが、本当にまったく走れないというか、コース一周走るのが精一杯なくらいに何をしてもうまくいかない……」と、小高は悔しさを滲ませる。

「バランスがうまく合わないと言ったほうがいいのか、最後までいいところを見つけられないまま終わってしまいました。僕は大体2023年の暖かいときは普通に走れていたと思うので、暖かくなるまで待ちます」

 また、今回のテストで苦悩した原因がマシンなのか自身の走りなのかという質問には「両方だと思います」と答えた。

2023スーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト 小高一斗(KONDO RACING)
2023スーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)
2023スーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト 山本尚貴と佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)
2023スーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト 大津弘樹(TCS NAKAJIMA RACING)

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