金次郎の功績、本質に迫る 日光・二宮尊徳記念館 「栗山地域の報徳仕法」テーマに24日まで

「五十里村湖水御検使御立合絵図」(県立文書館寄託、個人蔵)

 【日光】市二宮尊徳記念館で24日まで、2023年度テーマ展「栗山地域の報徳仕法~西川村の五十里湖水跡地の開発を中心に」が開かれている。二宮金次郎(にのみやきんじろう)(尊徳(そんとく))が、その生涯をかけて行った農村復興事業、いわゆる「報徳仕法」の恩恵は、日光を最終地に全国600もの地域に及ぶ。他地域に比べ知られていない栗山地域の事業に光を当て、報徳仕法の本質に迫った。

 終焉(しゅうえん)の地である日光で金次郎は幕末の15年間、89カ所の村で報徳仕法を展開した。平地である今市地域での実績が有名だが、実際には山間部でも復興事業に尽力したという。

 栗山地域で実施された報徳仕法は、ちょうど300年前の1723(享保8)年、現在の宇都宮や真岡、茨城県結城市まで被害が及んだ「五十里(いかり)大洪水」の跡地「西川村」が舞台。

 テーマ展は、県立文書館の寄託資料で当時の西川村周辺の地図「五十里村湖水御検使御立合(ごけんしおたちあい)絵図」や、開拓した面積に応じて村民が受け取る「賃金」の一覧「賃金割対帳」など約50点を展示。このほかにも復興事業を優先する金次郎と「新田開発」という村民の願望を対比し、金次郎の考え方や農民の暮らしぶりを浮き彫りにした。

 「模範的な村民に対し、金次郎は農機具などの褒美を与えていた」と学芸員の斎藤康則(さいとうやすのり)さん(68)。「村民のやる気を喚起するのが狙いで、それこそが報徳仕法の本質だったことが分かる」と話している。

 開館時間は午前9時~午後5時。月曜と祝日の翌日は休館。入場無料。16日午後1時半からは斎藤さんの講座も開く。定員は先着20人。(問)同記念館0288.25.7333。

貴重な資料が並ぶテーマ展「栗山地域の報徳仕法」

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