水野英子氏、トキワ荘での石ノ森章太郎&赤塚不二夫を回顧 合作で自身が主人公を担当した理由をぶっちゃけ

「サイボーグ009」「仮面ライダー」などで知られる石ノ森章太郎と「おそ松くん」「天才バカボン」などを生んだ赤塚不二夫、2人の漫画家の特別企画展「ふたりの絆 石ノ森章太郎と赤塚不二夫」(9日開幕)の記者発表会が8日、東京・トキワ荘マンガミュージアムで行われ、2人と交流が深かった水野英子氏が当時の思い出を語った。

デビュー前から40年以上の親友関係にあった石ノ森章太郎と赤塚不二夫。同展では2人の出会いから切磋琢磨(せっさたくま)して過ごしたトキワ荘を中心に、当時の原稿など総数76点の貴重資料を展示。「ふたりの絆」にスポットをあてた原画展は今回が初で、ふたりの青春時代を追体験できる。

2人とトキワ荘で過ごし、「U・マイア」というペンネームで合作を担ったこともある漫画家の水野氏は「この2人は一生別れることはないだろうというような親友だった」と当時を回顧。赤塚は”石ノ森の女房役”と言われるほど世話を焼いていたといい「おそらく2人ともずっと必要としていたのではないか。本心を打ち明けられるのはお互いだけだったと思います」と話した。

合作では、水野氏が主人公の男女を描くことが多かった。少女雑誌に掲載されたため「かわいい、きれい、というようなことが要求されたわけです。それで男性が女性を書いても、どうもイマイチかわいくないというところがありまして…」とぶっちゃけ。自然とトキワ荘で唯一の女性漫画家だった水野氏が担当する形になった。

水野氏はふたりのすごさについて、石ノ森は”大胆さ・発案力”、赤塚は”繊細さ・写実的”と語った。トキワ荘に入るまで周囲に漫画家がおらず独学だったため、2人の背中から学ぶことばかりだった。「教えていただくことは全くなかった。聞くまでもない。何も言わずとも見るだけで勉強になった」。そんな2人は映画をよく参考にしていたといい「漫画の話よりも映画の話が多かった。漫画の話はほとんどしてません」となつかしんだ。

展示会は来年3月24日まで開催される。12月29日~1月3日、毎週月曜、祝日の場合は翌平日が休館日。開館時間、入場料金等は公式まで。

(よろず~ニュース・松田 和城)

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