愛媛県新居浜市内の一家3人をナイフで殺害したとして、殺人などの罪に問われている男の裁判で、男を精神鑑定した医師が犯行時も自分でコントロールできていたと、刑事責任能力はあるとの見解を示しました。
住所不定・無職の河野智被告は、2021年10月、新居浜市垣生の住宅で岩田友義さんと妻のアイ子さん、それに三男で職場の同僚だった健一さんの一家3人をナイフで殺害したとして、殺人などの罪に問われています。
8日の裁判では、河野被告の精神鑑定を担当した精神科の兵頭隆幸医師が検察側の証人として出廷し、被告には妄想型の統合失調症の影響で、盗撮などの被害妄想がみられたと説明しました。
また、被害者の健一さんから“電磁波攻撃”を受けているといった妄想により、腹だたしい気持ちを抱くことは納得できると述べました。
そして、犯行時について「殺すという目標に向かってナイフをとりかえたり首を切ったりと、自分でコントロールできていると判断した」と刑事責任能力はあるとの見解を示しました。
その後の被告人質問で河野被告は、検察官から遺族への謝罪の気持ちはないか問われると「私は今でも被害者だと思っている。死刑となってでも拒否する」と答えていました。
この裁判は、河野被告の刑事責任能力の有無が争点で、弁護側は無罪を主張しています。
今月12日には求刑と最終弁論が行われ、18日に判決が言い渡される見通しです。