新型コロナ対策は効果がなかった? 消毒液やアクリル板の意味 専門家から驚きの指摘が【大石が聞く】

2019年12月、中国の武漢で初めて確認された未知のウイルス。

(2020年1月のニュース)
「中国内陸部の湖北省武漢市で先月以降、病原体不明の肺炎の患者が59人確認され」
「原因不明の肺炎について、国営メディアは新型のコロナウイルスだと伝えました」

2020年、新型コロナウィルスの感染拡大が始まった日本。
感染症の分類で2番目に重い「2類相当」に位置づけられ、マスクや消毒液、アクリル板など様々な感染対策が、約2年半にわたって続きました。

【2023年12月4日】
(街の人)
「(コロナ禍は)人込みは行かなかった」
Q飲食店は?
「行かないです。全部テイクアウトか自炊」

(街の人)
「デパートの入り口とかにある消毒液はあったら使うようにしていた」
「やっぱり推奨されていたので」

2023年5月以降、扱いがインフルエンザと同じ「5類」に変更され、収まったようにも見えるコロナ禍…街は以前の賑わいを取り戻しています。

警戒はもう必要ないのか? そして数々の感染対策は正しかったのか?
こう話す専門家も。

(愛知県立大学 清水宣明教授)
「国内に感染がかなり広がっているのに、飲食店だけをターゲットにして、対策をやめられなかったというのが、国や専門家会議の悪いところだった」

感染制御学を研究する、愛知県立大学の清水宣明教授。コロナ禍では、幼稚園や学校などの感染対策に携わりました。

数々の感染対策…消毒液やマスク、アクリル板はどこまで効果があった?

【名古屋・中区 2023年11月23日】
名古屋市中区のふぐ料理店「晴快荘」でうかがうと…感染対策として大量に購入した、消毒液やマスク、アクリル板は、今は倉庫に。

(大石邦彦アンカーマン)
「消毒はどこまで効果があった?」

(愛知県立大学 清水宣明教授)
「コロナに関して言えば、ほとんど効果はありません」

(愛知県立大学 清水宣明教授)
「というのも、こういう環境の表面などにウイルスがついていて、それを触ることによって口や目に持っていって感染してしまうことは、まず確率的にも考えられないんです」

新型コロナウイルスが接触感染することは「確率的にも考えられない」とのこと。

(愛知県立大学 清水宣明教授)
「常識的な手洗いや消毒はエチケット的にも良いと思うが、コロナに特化した過剰な消毒などは必要なかった」

また、国の推奨で、あらゆる場所に置かれた“パーティション”については…

(愛知県立大学 清水宣明教授)
「新型コロナの場合にはパーティションでは止められない」

(愛知県立大学 清水宣明教授)
「新型コロナの感染は最初、飛沫感染だと言われました。飛沫はこういう風に飛びますので。(粒が)大きいのですぐ下に落ちてしまう」

(大石アンカーマン)
「ただコロナウイルスは飛沫ではない」

(愛知県立大学 清水宣明教授)
「はい。こういうふうにすぐには落ちない。もっと粒子が小さくて空中を漂う」

新型コロナウイルスは“空気感染”が主…煙を使って実験すると?

新型コロナウイルスは飛沫よりも、空気中に漂う細かい粒子「エアロゾル」による“空気感染”が主だと分かっています。

大学や幼稚園などでの換気実験でも使われているという、スモークマシンの煙をエアロゾルに見立て、アクリル板に当ててみると…

(愛知県立大学 清水宣明教授)
「吐き出されたときは一度止まるが、空間全体に広がっていきます」

(大石アンカーマン)
「たしかに、アクリル板でブロックされて、それが上へ上へ立ち上っていきますね」

アクリル板に当たった煙が跳ね返り、部屋中に広がっていくのが分かります。

(愛知県立大学 清水宣明教授)
「空気が動きにくくなってしまう。邪魔ですから」
「少し緩い扇風機などで空気を動かしていればよかった。ここで(アクリル板で)止めてしまってはダメなんです」

飲食店には厨房に強力な換気扇がありますが、アクリル板によって空気の流れが妨げられ、逆に“ウイルスを滞留させた”可能性が高いというのです。

(大石アンカーマン)
「女将さん、何枚買ったんですか? アクリル板」

(晴快荘 鈴木ひで子 女将)
「20枚か30枚くらい買った。お金の無駄…」

クラスターが飲食店よりも、病院や介護施設、学校などで起こっていた事実を考えても、飲食店重視の対策には疑問が残ります。

(愛知県立大学 清水宣明教授)
「『飲食店が危ない』と最初印象付けてしまった。それをずっと続けてしまったというのは私は罪深いと思う」

空白ばかりの予約帳を見ながら、晴快荘の女将は…

(大石アンカーマン)
「緊急事態宣言がもう出ていた時だから…」

(晴快荘 鈴木ひで子 女将)
「予約入らなかったというより、休業していた」

(大石アンカーマン)
「コロナ禍の3年ってどんな3年でした?」

(晴快荘 鈴木ひで子 女将)
「何とも言えない。国からお金を借りて何とかやってきたけれど、従業員の給料や家賃、仕入れのお金を払ったり、これから返済していくのにどうしていこうか。赤字だから銀行はお金を貸してくれないし。今、地獄です」

「大石が聞く」の医療イベントで専門家に聞いた「コロナ禍の今後」

【CBCホール 2023年12月3日】
2023年12月3日、CBCテレビでは「大石が聞く」の医療イベントを開催。
医師やウイルス学の研究者3人を招き、コロナ禍の今後を考えました。

(京都大学医生物学研究所 宮沢孝幸准教授)
「このウイルスが出た時から、世の中の動きがおかしい。ウイルス学を無視した政策が取られた。ロックダウンに近いことをした。そんなものはナンセンスだと言っていた」

5類になってから国は詳しい感染者数を公表していませんが、厚生労働省のデータを元に、第8波と2023年5月以降を比べると第9波とも言える山が。感染拡大はまだ繰り返されているのです。

(産婦人科 丸田佳奈医師)
「重症化しやすい人っていうのはいまだに変わっていません。オミクロンになってから重症化しにくくはなってますけども、まだまだハイリスクの人たちにとっては怖い病気」

(名古屋大学医学部附属病院 山本尚範医師)
「アメリカのデータを見ると、アメリカの全人口の15%の人がコロナの後遺症を経験し、1.5%の人は後遺症によって、今ほとんど生活がままならない状況になっている」
「ここはどういうふうに対応していけばいいかということは、きちっと見ていく必要がある」

今後、より病原性の強い変異株が出現しない保証はありません。国による「コロナ対策の総括」が求められています。

2023年12月7日放送 CBCテレビ「チャント!」より

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