東京から京都府南丹市に移住した2児の母 デザイン×社会教育で地域おこしに挑む

「地域が元気になる仕組みをデザインしたい」と話す山内さん(南丹市八木町)

 山内麻衣子さん(41)は、自然の身近な環境で子育てをしようと京都府南丹市八木町に移住し、9月に地域おこし協力隊に着任した。デザインや社会教育に関わってきた経験に加え、母親としての目線という「武器の掛け合わせ」を強みに、独自の視点で関係人口の拡大や情報発信を手伝っている。「楽しい地域には人が寄ってくる。仕掛けづくりに伴走したい」と意気込む。

 京都市伏見区出身。右京区京北や南丹市美山町に祖父母など親戚が多く、幼少期は野山を駆け回った。大学では社会教育を学び、子ども向けの野外活動でスタッフも務めた。卒業後は広告代理店やクリエイター養成の専門学校に勤めてきた。

 結婚後、東京でデザイナー・ライターの傍ら、2児を育ててきた。だが南丹市日吉町の「スプリングスひよし」でキャンプをした2020年、芝生をいつまでも駆け回るわが子を見て、都会で現れなかった力に驚かされた。「里山で育つほうがいい」と移住を検討、ゆかりのある同市の協力隊に応募し、採用された。

 早速、こんにゃく作りを続ける同町の住民らの依頼で体験教室のチラシを作り、活動を紹介する冊子も準備している。まちの課題解決に向けて市民をつなぐ専門家「社会教育士」の強みを生かし「地域が元気になる仕組みをデザインしたい」と思い描く。

 現在は長女が小学1年、長男は5歳。以前から旅先で自然や住民と触れ合い、学びの機会にする「旅育(たびいく)」を実践してきた。南丹では旅育が楽しめる場となるようなイベントも企画、11月には美山町でみそ造りや焼き芋の体験を催した。都市部からの児童らが仲良く遊んで社会性を養い、親にとっては息抜きに、さらには地元のお年寄りからも「活気が戻る」と好評という。「三方よしですよ」

 協力隊で任務とされた関係人口づくりは、親子を最大のターゲットとする。のびのびと遊んだ思い出があってこそ移住した経験から「南丹市が心の古里になり、成人してから住む場所として選んでもらいたい。体験の催しが関わりのきっかけになる」と力を込めた。

© 株式会社京都新聞社