選挙取材25年、無視されがちな無名候補にも情熱 「NO選挙,NO LIFE」16日から神戸で上映  

映画の一場面((C)ネツゲン)

 選挙の面白さを伝え続けるフリーランスライター・畠山理仁(みちよし)さんの活動を追ったドキュメンタリー映画「NO選挙,NO LIFE(ノーセンキョ、ノーライフ)」が、元町映画館(神戸市中央区元町通4)で16日から公開される。脚立を抱え、ひとり現場を駆け回って25年。効率重視の「コスパ」「タイパ」とは無縁の日々から見える世界とは-。

 畠山さんは早稲田大在学中、週刊誌での仕事をきっかけに選挙の取材を開始。既存のメディアや大半の有権者に無視されがちな無名の候補も含め、全候補者に会うことを信条とする。その歩みをまとめた著作「黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い」は開高健ノンフィクション賞を受けるなど、高く評価されてきた。

 本作では、昨夏の参院選東京選挙区でクセの強い候補者ら34人を追う姿に密着する。心身ともにハードな日々。「毎回宝探しに行って、毎回宝を見つけてる感じ」と選挙取材への情熱を語りつつ、経済的な厳しさもあり、50歳を前に引退を口にする。そして「卒業旅行」として沖縄県知事選へ-。決意の行方を、カメラは記録する。

 耳を傾ける人もない中、演説する候補に敬意とさりげない優しさを示す畠山さん。その姿を前田亜紀監督はしっかり捉え、見る者の心に小さな火をともす。

 109分。30日まで。同館TEL078.366.2636 (新開真理)

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