【石黒純一さん(中華そば石黒/オーナー)】“当たり前のことを当たり前にできる人であり、店でありたい”


【プロフィール】

石黒 純一(いしぐろじゅんいち):阿賀野市出身。高校卒業後、実家の自動車修理・整備店を継ぐため工業系の短期大学へ進学する。学生時代にラーメン店でアルバイトをしたことをきっかけに、ラーメン職人の道に進むことを決心する。バイト先のラーメン店グループで11年間経験を積むと、2013年に独立し『中華そば石黒』を開業。今年で10周年を迎える。


ガタチラスタッフ:『新潟人178人目は、「中華そば石黒」のオーナー・石黒純一さんです!連日多くの人で賑わう人気ラーメン店ですが、オープンするきっかけや煮干し系のラーメンへのこだわりをお聞きしました!素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』

当たり前のように自動車の世界へ

–工業系の仕事を目指していたのですか?

石黒さん:実家が自動車修理・整備のお店を営んでいたので、物心ついたころから「自分がここを継ぐんだ」と当然のように思っていました。ただ、自分から興味を持ったり、心から好きになる事ができなかったんですよね。短大で自分より車に対する興味が深く、勉強熱心な人がたくさんいる事を知ってから、それに気づきました。考えてみたらラーメンの方がよっぽど好きでした!(笑)

–それで、学生時代にラーメン屋でアルバイトを始めたのですか?

石黒さん:そうなんです(笑)。アルバイト時代は洗い場や餃子を焼く仕事しかさせてもらえなかったのですが、“好きだからこそ、それでも楽しかった”という印象がありますね。

–ラーメン屋の方が向いていたのですね!(笑)

石黒さん:それがどちらかというと逆で…ラーメン屋に向いていないというのを当時から身に染みて感じていました(笑)。一緒に働いていた人たちからは、「まさかお前がラーメン屋をやるなんて!」と声を揃えて驚かれましたからね(笑)。

疑問から始まった独立への道

–独立を決めるきっかけは何だったのですか?

石黒さん:独立志望はそんなに高くなくて、「いつかできたらいいな」というくらいでした。ただ、テレビなどでよく特集されている“行列のできるラーメン屋”には興味があり、よく観ていましたね。「あそこまで人が並ぶのはなぜなんだろう?」「何に惹かれてそんなに並ぶんだろう?」という疑問がありました。

–「おいしそう!」ではなく、「なぜ並ぶのか?」なのですね!

石黒さん:その疑問を解くためにも「独立してやってみようかな」と考えていたタイミングで、知人も独立し始めて。その時に物件の話もいただいたりして、色々なタイミングが合ったからですね。それで始めたのが東区の最初の店舗です。

–独立して大変だったことはありますか?

石黒さん:メニューや店舗のイメージは固まっていたので、迷いが少なかった分そこまで苦労した感覚はなかったですね。自分が一番好きな『煮干し系のラーメン』を出したいと思って始めたので、道は一直線でした!

–確かに、石黒と言えば“煮干し”のイメージです!

石黒さん:当時は新潟で煮干し系のラーメンを食べられるお店が少なかったこともあり、挑戦しました。それまでは、ラーメンを作る上で煮干しを触った事すらなかったです(笑)。

–初めての食材の扱いを迷いなく始められるなんて、すごいですね!

石黒さん:なんとなくですが、上手くいく予感しかしませんでしたね(笑)。煮干し系のラーメンは青森が発祥なので、青森の人気店まで食べに行って研究もしました。そこから、“煮干しは品質にこだわって厳選したもの”を使い、量も他店舗よりずっと多く使用して、何度も作って行くうちに“石黒の味”が誕生しました。

–メニュー数は開店当時より増えていますよね!

石黒さん:自分が作りたいものを作ってきた結果なのですが、それをお客様に受け入れていただいていると思っています。食べに来てくださるお客様の反応やご意見は、いつも参考にさせてもらっていますね。もちろん、今でも他のラーメン屋さんに食べに行って勉強しています!

–ラーメン以外のものを食べたくなりませんか?

石黒さん:それがならないんですよね!「他の味のラーメンが食べたい」というのがあるくらいです(笑)。皆さんが和・洋・中華何食べようかな?と悩むようにラーメンの中でどの味にしようかな?と悩みはします!

当たり前のことを当たり前にやっていきたい

–中央区へ移転したきっかけは何だったのですか?

石黒さん:前店舗は駐車場が少なかったので、もう少し広い駐車場がある所でやりたいと思っていました。あとは、「中央区で一度挑戦してみたい」という思いもありましたね。結局、色々あって現店舗の駐車場も少なくなってしまったんですけどね(笑) 。しかし、近隣に専門学校がたくさんあるので、学生のお客様が増えました。幅広い年代の方が来店してくださって、とてもありがたいです!

–お客様との印象に残るエピソードを教えてください!

石黒さん:「おいしかったよ!」と声をかけてもらえることが何より嬉しいので、その言葉すべてが印象的ですね。特に嬉しかったのは、煮干しが苦手なお客様が『煮干しラーメン』のお店とは知らずに来店された時のことです。気付いたときには「失敗した!」と思われていたお客様でしたが、「すごくおいしかった!」と言ってくださったんです。『煮干しラーメン』のお店を始めて良かったと思った瞬間でしたね。

–お店作りで大切にしている事を教えてください!

石黒さん:“当たり前のことを当たり前にやれる人・お店”でありたいと思っています。お客様への入・退店時のお声掛けや丁寧な仕事をするとか、シンプルで基本的なことです。そんな時代じゃないと思う方もいるかもしれないですが、私はそれを守り続けていきたいですね。

–最後に今後の目標を教えてください!

石黒さん:2023年12月で“オープン10周年”になるので、この機会に何かを変えようと思っています。その何かを今温めている所なので、楽しみにしていてください!(笑)

また、一昨年は「ラーメン消費額」で新潟市が全国1位になったのですが、昨年は再び山形市に奪還されたので、新潟のラーメン界や飲食業界を盛り上げるために、微力ながらできることをしていきたいと思っています!

【中華そば 石黒】
住所:新潟市中央区弁天橋通1-4-33湖南ビル1階
電話:025-250-1496
営業時間:11:00〜14:30、17:30〜21:00
定休日:月曜(17:30〜21:00)、火曜
公式ホームページ:https://chukasoba-ishiguro.com/

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