北陸新幹線延伸の敦賀に地酒復活…その名は「月きよし」 有志プロジェクト、2024年3月ごろ完成へ

敦賀の地酒「月きよし」
敦賀の地酒の仕込みに向け酒米の稲刈りをするプロジェクトメンバーら=9月、福井県敦賀市山泉

 来年3月の北陸新幹線敦賀開業を敦賀の地酒で祝い、その後のおもてなしに敦賀の地酒を使いたいと、福井県敦賀市内の有志が地酒造りプロジェクトに取り組んでいる。酒米の収穫は終わり、名称も決定。プロジェクトは大詰めを迎えている。福井県に特化したクラウドファンディングサービス(CF)「ミラカナ」で、地酒造りやラベルデザイン費用などの資金を募っている。12月25日まで。

 敦賀の地酒は、江戸時代の1624年創業で近年まで敦賀唯一の酒蔵だった敦賀酒造が2005年を最後に酒造りをやめて廃業したことから失われていた。プロジェクトは市タウンマネジャー、阿部俊二さんが「敦賀の地酒で新幹線を迎えよう」と呼び掛けて昨年7月に始動。市の第三セクター港都つるがや、市内の飲食店、酒小売店、農業者、漁師らが参画して取り組んできた。

 敦賀真鯛や敦賀ふぐ、昆布のうま味を生かした料理など磨き上げが進む敦賀の食に合う「米のうまみを感じながら、後口さわやかな辛口」の日本酒を目指している。名称は1689年に松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅で気比神宮を参拝した際に詠んだ「月清し遊行のもてる砂の上」の句から「月きよし」とした。

 酒米は「五百万石」を採用し、敦賀富士とも呼ばれる名峰・野坂岳の伏流水が注ぎ込む同市山泉の田んぼで育てた。来年1月に小浜市の酒造会社「小浜酒造」で仕込みに入り、3月ごろに完成する予定。新幹線開業に合わせた鏡開きイベントを計画している。

 阿部さんは「寄付という形で多くの人に酒造りに参加してもらい“みんなで造った敦賀の地酒”になれば。敦賀での酒造りがずっと続くように協力してもらいたい」と呼びかけている。

 CFの目標額50万円を既に達成し、さらなる支援を募っている。5千~3万円の3コースで、返礼品はいずれも「出来たての新酒」4合瓶1~12本。

 ◇ミラカナとは 福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス。県内でプロジェクトを始める人の資金調達を応援するプラットフォームとして福井新聞社、福井銀行、福邦銀行が連携。CFのレディーフォー、応援購入サービスのマクアケいずれかを通じて支援・購入を募る。累計支援額は2億円、プロジェクトの達成率は92%(数字は2023年9月末時点)。

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