音色を彩るカラーガード「中学生のときからの夢」「音楽を続けたい」 身長と同じ高さの旗を操り演奏に華を添え 県警音楽隊・新人2人の奮闘 広島

音楽を通じて、交通事故や犯罪の未然防止呼びかけているのが広島県警音楽隊です。演奏に華を添えるカラーガード隊に新らたに2人が加わりました。

広島県警音楽隊は、今年で創立73年を迎えます。演奏に華を添えるのはカラーガード隊員は6人が所属しています。警察官との兼務ではなく、カラーガードと楽器の演奏を専門に行うチームです。

今年の4月に仲間に加わったばかりの新人の1人は門枡咲良さん(24)です。カラーガード隊員を目指したきっかけは中学生のときでした。

門枡咲良 さん
「フラワーフェスティバルで警察音楽隊のパレードを見たら、めちゃ旗がそろっていたから『自分もいつかやってみたい』という気持がきっかけで」

カラーガード隊員になることが将来の夢になりました。音楽大学に進学し、卒業後にカラーガード隊員の試験を受けました。しかし、結果は不合格…。今年の春、見事リベンジを果たしました。

門枡咲良 さん
「浮かれてました。嬉しくて。決まった!って」

そして、もう1人は高岡愛里さん(23)です。

高岡愛里 さん
「音楽は元々好きだったけれど、カラーガードの存在は知らなかった」

中学生のときからトロンボーンを始め、『将来も楽器を続けたい』という思いから就職先として、音楽隊を見つけました。

高岡愛里 さん
「カラーガードはできるかな?って。運動は得意ではないので、できるか不安だっだけれどでも、やってみようかなと」

自身の身長と同じ高さの旗を操り 1年間で覚える振り付けは10曲以上

晴れて念願のカラーガード隊員になった2人ですが、本格的に取り組むのは初めての経験。自分たちの身長とほとんど同じ高さの旗を操らなければなりません。

揃った演技で美しく見せるため、旗を一定の角度で持ち、常に明るい笑顔で踊る表情管理も求められます。さらに、この1年間で2人が習得しなければらないダンスの振付や旗の振りは、10曲を超えます。

高岡愛里 さん
「次から次に新しいことをやらないといけなくて、すごく大変だなって思います」

11月、広島県坂町にある県警機動隊グラウンドで、本番を想定した全体練習が行われました。この日、2人が苦戦してたのは難易度の高い『エクスチェンジ』です。旗を投げて向かいの人と交換する技です。

楽器を演奏する音楽隊員を間に挟み、数メートル先の相手へ旗を正確に投げ、さらに受け取ることは新人2人にとって簡単なことではありません。屋外では、風の影響も計算する必要があり、さらに難易度が増します。

広島県警音楽隊 黌農(こうのう)重盛 楽長
「後ろ2本!弱い!もっとどんと投げて」
先輩のカラーガード隊員 岡本瞳子 さん
「風が吹いとるからもっとしっかり投げないと」

年間約100回以上、披露の場があるという広島県警音楽隊。屋外での演技に備え、何度も何度も繰り返し練習します。

門枡咲良 さん
「怖すぎです。まじで怖いです。疲れました」
高岡愛里 さん
「風の具合によっては届かないこともあるし、投げすぎてしまうこともあるし、その場でどっちに風が吹いているかを見極めて投げるのが難しい」

今はベテランの先輩たちも新人の頃は苦労したといいます。

高岡愛里 さん
「落ちてきたら、たんこぶができちゃうって先輩が…」
先輩 岡本瞳子 さん
「本番でした。高校生の前で落として、おでこに」

厳しい練習も先輩の存在がさせに 来年の大舞台に向け日々励み

厳しい練習が続きますが、付きっきりで指導をしてくれる先輩の存在が支えになっています。

高岡愛里 さん
「先輩たちに勤務が終わった後に一緒に練習してもらったり、自分1人では絶対できるようになっていないので、大好きです」

カラーガード隊員6人は、年齢や経験年数こそバラバラですが、休日には全員で遊びに出かける仲です。チームみんなで苦楽をともにし、日々支え合いながら演技を完成させます。

広島県警音楽隊 黌農重盛 楽長
「人前では華々しくやっていますが、そこに至るまでは大変な道のりを通ってやってきています。これからのさらなる飛躍を期待しております」

来年(2024年)には初めての大舞台、広島県警音楽隊主催のコンサートも控えています。

高岡愛里 さん
「今は演技の振りを覚えるので精一杯で、もっと綺麗に見せる工夫もできるように余裕を持ちたい」

門枡咲良 さん
「(最初は)人前で踊るのは緊張があったけれど、今は緊張よりももっと(見る人に)楽しんでほしいという気持ちが大きい」

よりよい演技披露を目指して2人はきょうも練習に励みます。

【公演情報】
2023年2月4日、広島県警音楽隊主催のコンサート「減らそう犯罪『ステップアップコンサート』」がフェニックスホール(広島市中区)で開かれる予定です。新型コロナの影響で開催中止を余儀なくされ、開催は4年ぶり。新人の2人にとっては初めての大舞台です。入場無料。申し込みは広島県警のHPなど(2024年1月10日まで)。

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