バス輸送量 コロナ前に戻らず都に助成要望

東京都は来年度の予算編成を前に、東京バス協会などにヒアリングを行いました。バス協会は、コロナの5類移行後も輸送量が回復しておらず、運転手の人材不足など、課題が山積していることから、都にさらなる支援を求めました。

(東京バス協会 南正人会長)
「5類移行後も残念ながらコロナ前には戻っていないのが実情。来年、2024年問題を控えた運転手不足、(運転手の)確保が大変厳しいことが一番の大きな要因」

都内の乗り合いバスや貸切バス事業者が加盟する東京バス協会によりますと、都内のバス輸送量はコロナ禍前に比べ、路線バスでは9割弱、貸し切りバスや高速バスでは、7割ほどまでの回復にとどまっているということです。

主な理由として、テレワークなどの普及で需要が減ったことや、運転手の労働時間規制が厳しくなる2024年に向けた体制の縮小などを挙げています。

バス協会は都に対して、人材確保のため、大型二種免許取得の支援継続や燃料価格も高騰しているとして、貸切バスも対象にした燃料費の助成を求めました。

(小池知事)
「燃料費をはじめとする物価高騰、今後見込まれる運転手不足など、バス業界を取り巻く環境は大きく変化していると認識している。貴会と連携しながらしっかり対応」

東京都では来年度の予算編成のため、先月から様々な団体へヒアリングを行っていて、これまでに100近くの団体から要望を聞いています。どういった要望があったのか、一部をまとめました。

東京都が力をいれて進めているスタートアップ支援について、支援団体からは、東京都の現状を「事業者と有識者の意見を都が鵜呑みにして、てんでばらばらな施策になっている」と指摘し、「現場に精通した職員を育成してほしい」という意見が出ています。

また、東京都助産師会は出産後1年以内の母子に対して、心身のケアや育児のサポートを行う産後ケア事業について、自治体によって内容にばらつきがあるとして、都からも各自治体に事業の周知を求めました。

公衆浴場の同業組合は、LEDライトの導入に向けた補助事業から、10年が経過したことに触れ、「更新のタイミングだから、その補助も行って欲しい」と訴えました。

そしてこの団体からの意見を反映させて作られるのが、来年度の予算案です。東京都では、例年11月に都の各局からの要求や区市町村、団体の要望を知事が聞く機会を設けていまして、12月には都議会の各会派の要望を聞く日も設けられています。

来年1月に、要望などを参考に考えられた事業の規模や内容が妥当かを知事が精査する「知事査定」を経て予算案を公表し、議会で可決されると、予算が成立となります。

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