大田区 「特定空き家」の取り壊しが終了

近隣住民は「取り除いてもらってよかった」と安堵しています。大田区は12月8日、老朽化で崩落の危険性などがある、いわゆる「特定空き家」に対する取り壊しの行政代執行が終了したと宣言しました。

(記者)
「商店街の一角にあるこちらの住宅が、今回大田区により基礎の部分を残して解体されました」

取り壊しの対象となったのは、大田区南蒲田の昭和40年代に建てられたとみられる木造2階建ての空き家です。

(近隣住民)
「15年くらい前から(だれも)住んでいない。手前の軒先の屋根が崩れていて、飛んできて危なそうだった。このあたりに(屋根が)散乱していた」

区は、近隣住民などからの、老朽化による危険を訴える声を受け、2016年から空き家の所有者に指導を繰り返してきました。しかし、その後も改善がみられなかったとして、今年10月に行政代執行に踏み切り、12月8日、取り壊しの工事が完了しました。

(大田区 石原課長)
「特定空き家第6号の解体工事が完了したため、行政代執行の終了を宣言します」

区は今後、取り壊しにかかった費用、およそ380万円を精査し、所有者に請求する方針です。

「危険な空き家」の取り壊しに近隣の人は…

(近隣住民)
「危ないし。(この辺りは)商店街だから汚いのもいやだし、近所も迷惑していた。取り除いてもらってよかった」

このように、建物が壊れたり、ごみ屋敷になったりしてしまうことで、近隣への影響が懸念されている空き家の問題。都内でも空き家の数は増え続けています。

都内の空き家の数を年代ごとにグラフにした表によると、1988年には都内に41万戸ほどだった空き家の数は、2018年には約81万戸と、30年間で約2倍にまで増加しています。

そんな中、政府も対策に乗り出しています。12月13日に施行されるのが、改正空き家対策特別措置法です。

行政が撤去可能な「特定空き家」のほかに、行政が改善を促す「管理不全空き家」というカテゴリーが新設されます。通常の空き家であれば、固定資産税が最大で6分の1ほどに減額されますが、この「管理不全空き家」に認定され、行政からの改善指導に応じない場合、減税措置が解除されてしまう可能性があります。こうした法改正で、政府も空き家の活用を促したい考えです。

そんな中、空き家の活用を助けてくれるサービスが注目されています。こちらのサービスでは所有者と契約を結び、空き家を基本無料でリノベーションし、賃貸住宅やテナントとして貸し出してくれるものです。

空き家の所有者は、毎月、手数料を引いた家賃収入を受け取れるうえ、サービスとの契約期間が終われば、リノベーションされた物件が戻ってくるということで、近年、問い合わせが増加しているということです。

今後、都内の空き家は増加することが懸念されていますので、こうしたサービスの活用が進むことを期待したいです。

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