立命館大学の創設者は「健康オタク」 「暗黒時代の魔王」と呼ばれた人物の実像は 研究者が語る

中川小十郎の人物像や西園寺公望との関係を解説する山崎教授(京都府亀岡市・ガレリアかめおか)

 立命館大学の創設者で、現在の京都府亀岡市で生まれた中川小十郎(1866~1944年)に迫る講演会「民主主義の根幹は教育にあり」が12月9日、ガレリアかめおか(同市)で開かれた。同大学文学部の山崎有恒教授が「国家主義の権化」のイメージとは異なる人物像や、自由主義者だった西園寺公望との深い関係について解説した。

 山崎教授は「小十郎は敗戦後、大学では暗黒時代の魔王と扱われ、創設者なのに検証されず封印されてきた」と説明。書き残した資料などの分析を踏まえ、「教育と研究に自分の考えを押しつけなかった。自由な雰囲気で学生を切磋琢磨させ、国の役に立つ人間を育てようとしていた」と指摘した。

 秘書として仕えた西園寺とは思想は異なったが、「理性あふれる国民を育て、きちんとした政治家を選挙で選んで輝く民主主義をつくりたいとの思いは一緒だった」と強調。中、高等教育の普及が欠かせないとの考えが、1900年に前身の京都法政学校の設立につながったとした。

 また「小十郎は異常な健康オタクで、見聞きしたありとあらゆる方法を実践していた」と紹介すると、会場に笑いが起こっていた。

 NPO法人「中川小十郎顕彰会」が市生涯学習奨励賞の受賞決定記念で開催し、市民約100人が聞いた。

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