国特別史跡・廉塾の保存へクラウドファンディング 広島・福山市が実施 個人負担軽減し地域の宝を後世に

広島県福山市は、経年劣化が進む国の特別史跡「廉塾(れんじゅく)」の保存へ向けて、改修費の一部に充てるクラウドファンディングに取り組んでいます。

廉塾は、福山市神辺町の出身で、江戸時代後期の儒学者菅茶山が開いた私塾のことです。1775年ごろに建てられたと考えられていて、当時の貴重な地方の教育施設です。

福山市によりますと、国の特別史跡に1953年に指定されて以降、細かな修繕をあわせて14回行ってきました。大規模な改修は今回が初めてとなります。

改修は2020年度から始めていて2032年度までに廉塾や、関連施設を整備する方針です。廉塾は経年劣化もあり、部材のいたるところに傷みがみられます。こちらは塾生たちの学びの場となった講堂です。

福山市文化振興課・野村友規さん 「床板を外して解体をしている状況となっておりまして、あきらかに床を支える部材などで朽ちてしまっているものについては取り替えて健全な姿に修理をして保存をしていく」

講堂の屋根は瓦が取り外されています。瓦のひび割れが原因で雨漏りも発生していたようです。

福山市文化振興課・野村友規さん 「瓦につきましては再利用できるかどうかの調査をしまして、利用できるものは再利用してできないものは新しいものに葺き替えていく」

改修は講堂だけでなく、敷地内にある9つの棟が対象です。

塾生たちが生活していた「寮舎」です。今後、半解体工事を行って破損状況などを調べた後に修理計画を立てていくということです。

修理の総事業費は8億円を想定しています。そのうち国が7割、県と市と所有者がそれぞれ1割を負担することになります。ただ、所有者個人の負担は1割だとしても8000万円に上ります。福山市はこの個人分の負担を軽減しつつ、廉塾を地域で守っていくためのクラウドファンディングを、22日まで1000万円を目標に集めています。

福山市文化振興課・高松秀幸・文化財担当課長 「全国に誇る施設をですね、皆さんに体験していただきたい。活用していきたい。この保存整備にかかるプロジェクトにご賛同いただいて、応援いただきながら、支援を広げていき」

地域の宝を後世に伝えていくために…。文化財の保存へ向けた新たな方法が展開されていくきっかけになっていきそうです。

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