コーヒーを飲みやすくするために入れる食品といえば、牛乳やフレッシュ、砂糖。カフェや喫茶店を訪れた際にも出されるのは、大抵このあたりが多いのではないだろうか。
インスタントコーヒーをまろやかにするには?
しかし、先日SNSで「インスタントコーヒーに少量の塩を入れるとまろやかになる」というライフハックを目にした。これまで見聞きしたことがなく、想像の斜め上をいくアイデアに驚いたが、試してみると本当にコーヒーがまろやかに。
なぜ、コーヒーに少量の塩を入れるとまろやかになるのか、コーヒーメーカー「UCC上島珈琲」(本社:神戸市中央区)によるコーヒーを学べる専門の教育機関「UCCコーヒーアカデミー」東京校の専任講師・村田果穂さんに詳しい話を訊いた。
■ 塩は「少量」がポイント
──「コーヒーに少量の塩を入れるとまろやかになる」という噂は本当なのでしょうか?
はい、本当です。なぜまろやかになるのかは、科学的なメカニズムなどはかなり細かい分析研究をしなければ分からないのですが、料理にたとえると分かりやすいかな、と思います。
料理をしていると、調味料を少し足すだけで味が変わることってありますよね? 酸味があるものに甘味を足すことで、まろやかになったり、コクが出たり。たとえば、グレープフルーツにハチミツや砂糖をかけて食べると酸味が和らいで食べやすくなります。
それと同じく、コーヒーでも味にカドを感じるものに塩を少量入れることでバランスが取れて、マイルドに感じるようになるんです。
「UCCコーヒーアカデミー」東京校の専任講師・村田果穂さん
──なるほど。味のバランスですね。
コーヒーの場合は、コーヒーの味にはない、違った要素である塩味が入ることで、和らいだように感じられるんです。
──違う要素が入ることがポイントなんですね。
私も実際に、弊社のインスタントコーヒーで試してみたのですが、やわらかな味わいの「ザ・ブレンド114」は元々マイルドなコーヒーでしたが、塩をひとつまみ入れることで、コクが増したように感じました。
深いコクのある「ザ・ブレンド117」は元々ビターな味わいですが、塩を少量入れると、こちらも苦味が和らいで、さらに「コク」が出たように感じました。
──「少量」がポイントなのですね。
はい。ひとつまみ程度で十分です。入れすぎてしまうと、塩味が勝ってしまい、あまり美味しくないです。140mlのコーヒーに指2本のひとつまみほどの塩がおすすめです。
筆者は自宅でUCCカップコーヒーで試作してみました。指2本のひとつまみほどの塩がベスト!
──でも、そもそもインスタントコーヒーってなぜだかカドがある苦味があるような気がします。
おそらく、それは香りが関係しているかと思われます。
インスタントコーヒーは、一般的にドリップして淹れるコーヒーなどと比べると、挽きたて(豆から挽いた場合)・淹れたてのような香りとはならないため、苦味を感じる方がいらっしゃるのかもしれません。味を感じる8割が香りとも言われるくらい、香りは重要な要素なんですよ!
──香りってそんなに大きな役割を果たしていたんですね。ということは、インスタントコーヒーでなくても、ちょっとカドを感じるコーヒーには塩を少量入れてみても大丈夫ということでしょうか?
はい。インスタント以外のコーヒーに塩を入れても大丈夫ですよ。実は弊社で発信しているコーヒーレシピのなかには、ブラックペッパーやナツメグを使ったアレンジなどもあるので、ぜひチャレンジしてみてください。
■ 実際に試してみた!
村田さんに教わった通り、インスタントコーヒーに塩を入れてみたところ、塩を入れる前よりも味がまろやかになり、コクが増していた。塩をふたつまみ入れたコーヒーも作って飲んでみたが、かなり塩の主張が激しく、コーヒーの味よりも塩気が勝ってしまうほどだった。
気軽に使えるライフハックではあるが、味の変化が著しいので、あくまで少量ずつ味を見ながら入れるのがおすすめだ。
「UCC上島珈琲」の公式サイトにはコーヒーのアレンジレシピが紹介されているほか、公式YouTubeチャンネル『UCCコーヒーアカデミー』では、コーヒーに関する豆知識や自宅で使えるテクニックなどが紹介されている。
○ 塩を使った「スパイスコーヒー」レシピ
・コーヒー…140cc
・ブラックペッパー、ナツメグ…少々
・塩…少々
・はちみつ、もしくは、砂糖…小さじ1
スパイスコーヒー
1.レギュラーコーヒー10〜12gを抽出し、140ccのコーヒーをつくる。
2.カップにコーヒーを注いで、はちみつ(または砂糖)を溶かす。
3.コーヒーにブラックペッパー、ナツメグ、塩を入れてかき混ぜる。お好みでミルクを入れてもOK。
ポイント:スパイスは入れすぎると主張が激しくなるので、少量ずつ入れるのがベター
取材・文・写真/野村真帆