【タイ】セーター首相、最賃引上げ幅の見直し要請へ[経済]

タイの国家賃金委員会が8日、1日当たりの最低賃金を2~16バーツ(約8~66円)引き上げ、地域によって330~370バーツとする案を承認したことについて、セーター首相は9日、「(引き上げ額が)少な過ぎる」と不満を示した。見直しを要請すると述べた。

セーター首相は「政府は電気料金や燃料費の引き下げなど企業の経営コスト削減につながるさまざまな政策を実施しており、企業はこの一部を労働者に還元する必要がある」と指摘した。

最低賃金の引き上げ幅が全体的に少ないことに不満を示し、現状の328バーツから330バーツと2バーツの引き上げにとどまる深南部3県(ヤラー、パッタニ、ナラティワート)については「(引き上げ分で)卵1個も買えない」と訴えた。

賃金委員会の決定が見直されるかどうかについては「しかるべき額に見直さなくてはならない。命令はしないが話し合う」と回答した。最低賃金案は、閣議承認されれば来年1月1日から適用となる。

一方、最低賃金が急速に引き上げられると企業の生産拠点の海外移転が進むとの懸念については「300バーツが一気に400バーツへ上昇しても、各種投資支援策があり、移転が起こるとは思わない」と述べた。セーター首相が所属する与党、タイ貢献党が公約で掲げた1日当たり400バーツの実現については「大都市では実現するかもしれないが小規模な県では届かないかもしれない」と話した。

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