「収入を超えてブランド品購入」と指摘 滋賀・栗東贈収賄事件初公判 市元部長ら起訴内容認める

大津地裁

 滋賀県栗東市が整備する産業拠点「栗東ニューテクノパーク」の土地売買を巡る贈収賄事件で、収賄罪に問われた同市元産業経済部長の男(61)と、贈賄罪に問われた地権者団体「六地蔵山管理委員会」代表で会社役員の男(73)の初公判が11日、大津地裁(西脇真由子裁判官)であり、2人は起訴内容を認めた。

 起訴状によると元部長の男は産業経済部政策監や同部長だった2021年7月から今年2月の間、同パーク内の土地売買について、同委員会の地権者に有利な取り計らいをしたことへの謝礼と知りながら、会社役員の男から5回にわたり現金計1050万円を無利息・無担保で借りたとしている。

 検察側冒頭陳述によると、元部長の男は、医薬品製造会社「ニプロファーマ」が同パークの土地取得を表明後、市の企業立地の責任者として土地売買契約に向けた調整を担当。同社が進出を予定する土地の価格について、企業側は1平方メートルあたり3千円を提示したが、委員会は8千円を求め、元部長の男は委員会の意向に沿う形で契約を成立させた。

 さらに同社の関連企業が隣接地の取得を検討し、この土地で事業を行っていた建設・採石会社が移転する必要が生じた。ところが、移転先では委員会に属さない地権者が売却に応じず、元部長の男が企業側との価格調整を進めて、この地権者に契約を結ばせたという。

 検察側は、元部長の男が金を借りた経緯について「収入を超えてブランド品などを購入し、クレジットカードの支払いで金銭に窮して会社役員の男に借り入れを申し込んだ」と指摘。借りた1050万円は返還時期を過ぎた後も返さなかったとした。

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