大谷の「後払い」はルール違反ではない 過去にも後払いの例あり

10年7億ドルという超大型契約でドジャースと合意した大谷翔平。契約規模が大きすぎるため、「大谷と契約することで他の戦力補強が難しくなるのではないか」と不安視する声もあったが、大谷自身が「大規模な後払い」を希望したことにより、ドジャースは大谷を中心としたスター軍団を形成することが可能になった。MLB公式サイトのマーク・フェインサンド記者は、大谷自身が希望したという「前例のない大規模な後払い」について解説している。

10年7億ドルという契約により、大谷は1年あたり7000万ドルを得ることになる。しかし、フェインサンド記者が関係者から得た情報によると、このうち6800万ドルが後払いとなり、大谷はドジャースとの契約期間中、毎年200万ドルだけを得るという。

つまり、1年あたり6800万ドル、10年間の総額で言うと6億8000万ドルもの大金が後払いされるわけだ。関係者によると、この後払いは2034~43年の10年間に行われ、大谷は毎年6800万ドルを得ることになるようだ。

フェインサンド記者は労使協定に「後払いにできる金額や割合については制限がない」と明記されていることを紹介。この「前例のない大規模な後払い」は決してルール違反ではないのだ。関係者によると、「大谷は後払いの意味やプロセスについて教育を受け、それが正しいことだと感じた」という。年俸以外でも多額の収入がある大谷にとって、チームのペイロールに負担をかけない今回のやり方は「簡単な決断だった」ようだ。

ぜいたく税の計算上、大谷が2034~43年に受け取る6億8000万ドルも契約期間の10年間に割り振られる。ただし、現在価値での計上となるため、後払いを考慮した大谷の契約の現在価値はおよそ4億6000万ドルとなり、ドジャースのぜいたく税計算上のペイロールでは「1年あたり4600万ドルの契約」としてカウントされる。10年7億ドルを単純に年平均に換算すると7000万ドルとなるため、大谷が後払いを提案したことでドジャースには1年あたり2400万ドルもの余裕が生まれたことになる。

フェインサンド記者が関係者から得た情報によると、「大谷は正確な金額は気にしていなかった」ようだ。「チームの柔軟性の助けになる」ということが最も重要であり、チームに負担をかけない方法を選択することに迷いはなかったとみられる。

過去にも後払いを含む契約を結んだ選手は多数おり、たとえば2014年のオフシーズンにナショナルズがマックス・シャーザーと7年2億1000万ドルの契約を結んだ際は、契約総額の半分にあたる1億500万ドルが後払いだった。その結果、ぜいたく税計算上のペイロールに計上される年平均額は3000万ドルから2800万ドルほどまで減少している。

とはいえ、大谷ほどの規模で後払いを行った選手は過去に存在しなかった。まさに「前代未聞の契約」と言えるだろう。

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