【ルポ】はさみ林道マラソン 上って下ってタフな20キロ ジョギング趣味の記者が走ると… 長崎

景色も楽しみながら林道を駆け抜ける選手たち=川棚町木場郷

 11月26日、長崎県東彼波佐見町永尾郷を発着点とする20キロのコースで行われた「だんじゃなかばい はさみ林道マラソン」(波佐見町スポーツ協会主催)。定員150人の小さな大会だが、起伏が激しく“物好き”なランナーが集まるコースなのだそうだ。ジョギングと山歩きが趣味の筆者も試しに出場してみた。
 大会名の「だんじゃなかばい」は、「とてもじゃない」「大変だ」という意味の方言。2003年の第1回から関わっている町スポーツ推進委員協議会の福島幸夫会長(69)は「初開催の1年前に『他にはない長距離レースを』と、マラソン好きの委員が提案したのがきっかけ」と振り返る。
 コースは、周囲を山に囲まれた波佐見の地形を生かし「通るのはイノシシぐらい」(福島さん)という広域林道虚空蔵線をメインに設定している。日頃から練習を積んでいないと完走すらできない、と心して挑んだ。
 18回目となる今回は108人がエントリー。募集の告知は町のホームページだけだが、「タフなコース」との評判は広がり、千葉や栃木など遠方からも参加していた。
 午前10時、緊張のスタート。腕時計の計測によると、発着点の標高は140メートル。上り下りを繰り返しながら、スタートから約7キロ地点の最高標高410メートルまで達した。途中、足がつりそうになり、上りは歩く作戦に変更。復路はいくぶん走れたが、18キロ地点の最後の坂がこたえた。
 ランナーたちに、この大会の魅力を聞いてみた。プレ開催の試走会から連続出場している同町の会社役員、小林喜輝さん(62)は「破談になってしまったが、当時は東彼3町の合併協議中。3町で取り組めるかもとの期待感もあった。一般的なランナーなら4時間ぐらいかけないと味わえないフルマラソンの苦痛や達成感が、半分の距離で味わえる」と語る。
 さて、筆者のタイムは2時間48分2秒で83位。完走者は89人だった。取材撮影のため一眼レフカメラを手に走っていたこともあり、きゃーないた(ひどく疲れた)が、自分なりに頑張った。ちなみにトップのタイムは1時間11分46秒だった。
 筆者と同じ80位台でゴールした長崎市の警察官、西山史恭さん(49)は「関門時間がないので焦ることなく、紅葉や景色など自然を感じながらリラックスできた」と笑顔をみせた。来年もぜひ参加したい。そして今回の記録を上回りたい。明日から、いや明後日から練習を再開しよう。

はさみ林道マラソンコース図
高低図

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