2024年のトヨタGRカラーはマットブラック。WRC/WECマシンが「わかりやすい」リバリーに一新

 12月12日、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は東京都江東区のシティ・サーキット・東京ベイにて、スーパーGTなど国内モータースポーツ・カテゴリーの2024年体制発表を実施した。この中で海外カテゴリーであるWEC世界耐久選手権とWRC世界ラリー選手権、両カテゴリーに参戦する車両の新しいカラーリングが公開された。

 既報のとおり、いずれもチャンピオンチームであるTGRのWECチーム、WRCチームの2024年体制は、11月20日に愛知県の名古屋市内で発表済み。この前日まで最終戦『ラリージャパン』を戦っていたTGRワールドラリーチーム(TGR-WRT)は、カッレ・ロバンペラ、エルフィン・エバンス、セバスチャン・オジエ、勝田貴元という4人のドライバーラインアップは不変であるものの、勝田がエバンスと並んでフルシーズンドライバーに抜擢された。

 一方、史上最年少の22歳でシリーズチャンピオンに輝いた昨季に続き、この2023年もタイトルを獲得したロバンペラはフル参戦を一時休止することに。来シーズンはドリフト競技などラリー以外のカテゴリーにも挑戦しつつ、WRCにはパートタイムで参戦することとなった。これにより3台目のトヨタGRヤリス・ラリー1は、オジエとロバンペラの“マルチ・チャンピオン経験者”によってシェアされることが決定している。

 シーズン7戦6勝を挙げマニュファクチャラーズタイトルを獲得するとともに、セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組8号車トヨタGR010ハイブリッドがドライバーズチャンピオンに輝いたWECでは、ラインアップの一部が変更された。

 これまで7号車トヨタGR010ハイブリッドで小林可夢偉、マイク・コンウェイとチームを組んでいたホセ-マリア・ロペスに代わり、ニック・デ・フリースがレギュラードライバーとして新加入したのだ。また、リザーブドライバーにはTGR WECチャレンジドライバーである宮田莉朋が起用されている。

■小林可夢偉の第一印象は「超速そう」

 そんな2チームが、ふたつの世界選手権で走らせるマシンの新カラーリングが初公開された。その見た目はこれまでにない全身マットブラックに。これはTGRの負け嫌いを表す“速さ”をイメージするとともに、これらの競技車両がモータースポーツを起点とした“もっといいクルマづくり”に繋がっていくプロトタイプであり、ここから進化していくことを示しているという。

 発表会の場では登壇したモリゾウ氏(豊田章男トヨタ会長)が、わかりやすさを求めたと発言。

「WECとWRCは世界選手権になりますから“世界選手権=日本代表”だったので、(これまでは)日本の国旗の赤白を代表しておりました」とモリゾウ氏。

「ただ、なんとなく赤と白とカラーリングのクルマって多い。(テレビなどで見ていると)どれがどれだかよくわからない。『もう少しわかるようにしてよ』と言ったらこのカラーリングなりました」

 実際にマットブラックのマシンカラーリングを決定したTOYOTA GAZOO Racingカンパニーの高橋智也プレジデントは、「いまモリゾウさんが仰ったようにわかりにくいというのを何とかしたいよね、という思いもあるのと、黒というと“プロトタイプ”でこれから進化していくぞという気持ちをクルマに込めたい。あとは、黒って早そうに見えるよね、という思いもあってこういうリバリーにさせていただきました」と説明した。

「これから“もっといいクルマづくり”をどんどん進めていく、という意思表示を込めさせていただいたということになります」

 7号車トヨタGR010ハイブリッドのドライバーでありWECチームの代表でもある可夢偉は、新しいリバリーの感想を求められると「『超速そう』というのが第一印象だった」と述べた。

「こういう黒いリバリーになったことはドライバーとしてもすごく嬉しいですし、今までにたぶん日本のクルマが世界選手権に戦ううえで黒いのってなかったんですよ。なのですごく新鮮なんじゃないかなという風に思ってます」

 2024年はBMW、ランボルギーニ、アルピーヌが加わり、さらなる激戦が予想されるWECハイパーカークラスに投入されるトヨタGR010ハイブリッドと、WRCでヒョンデ、Mスポーツ・フォードの挑戦を受けるトヨタGRヤリス・ラリー1に施されるこのマットブラックのカラーリングは今後、TGRが参戦するその他の競技にも展開される予定だ。

2024年のWRC世界ラリー選手権に参戦するトヨタGRヤリス・ラリー1
2023年仕様のトヨタGRヤリス・ラリー1
2023年仕様のトヨタGR010ハイブリッド

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