鵜様道中2年ぶり出発 「ウットリベー」七尾から気多大社へ

鵜様に手を合わせる住民=12日午前6時半、七尾市鵜浦町

  ●住民、手合わせ

 国重要無形民俗文化財で新年の吉凶を占う気多大社の「鵜祭(うまつり)」の主役となるウミウを、七尾市鵜浦町から羽咋市の同大社まで運ぶ「鵜様(うさま)道中」が12日、2年ぶりに始まった。降りしきる雨の中、白装束姿の鵜捕部(うとりべ)3人が鵜様の収められたカゴを担ぎ、「ウットリベー」と掛け声を響かせながら歩みを進め、住民は手を合わせた。

 午前6時20分ごろ、3人は鵜様を預かっていた鵜捕部の小森一平さん(43)方を出発した。

 住民は一行を見かけると走って追い掛け、カゴの中をのぞき込み、鵜様の姿を拝んだ。同町の野松敏夫さん(85)は「子どもの時から見てきたけど、鵜様を拝む機会はなかなかなかったのでうれしい。これからも元気で生活できるように願った」と笑顔を見せた。

 昨年はウミウを捕獲できなかったため、道中は2年ぶり。鵜捕部は小森さんのほか、磯野晴夫さん(65)、岡野克之さん(46)が務める。2年前にも担いだ小森さんは「鵜祭を楽しみにしている人も多いので、無事に気多大社まで運びたい」と気を引き締めた。

 13日には七尾市の能登生國玉比古(いくくにたまひこ)神社(気多本宮)の新嘗祭に臨み、14日に気多大社に到着する予定。神事は16日未明に営まれる。

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