未導入は埼玉県だけ…待機児童の増加受け「代替保育士」の特例導入を検討へ 現場からは「人足りない」の声

埼玉県庁=さいたま市浦和区高砂

 保育所の待機児童が増加し、保育士確保の必要性が高まっていることを受け、埼玉県の金子直史福祉部長は11日、研修や経験に応じて保育士資格がない代替職員の配置を認める特例の導入に向けて検討する考えを示した。県議会で平松大佑県議(県民会議)の一般質問に答えた。

 特例では、朝夕など児童が少ない時間帯や、長時間開所し基準以上の保育士が必要となる場合などに、一部を知事が保育士と同等の知識や経験を持つと認める職員で代替することなどができる。

 国が2016年に定めたが、石川県が21年に導入し、現在では全国で埼玉県のみ導入していない。金子部長は「県内の保育関係団体から質の低下を招く恐れがあると反対が示されていた」と導入を見送ってきた背景を説明した。

 一方で、今年4月1日現在、県内の待機児童数は前年比51人増の347人に上っている。県は市町村と連携して認可保育所の受け入れ枠拡大などに取り組んでいるが、新たな保育所の整備に伴い、保育士確保が必要となる。

 県少子政策課の担当者は「箱(施設)があっても保育士が足りなければ児童を受け入れることができない。保育の現場からは『人が足りない』という声が上がっている」と説明した。

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