児童精神科医を養成 県、大学に寄付講座検討

 発達障害児などを専門に診療する「児童精神科医」の養成へ、県は大学に寄付講座の設置を検討する。近年、発達障害や心の病と診断される子どもは全国的に増えており、より専門性の高い医師を育て、適切な支援を届ける狙い。12日、本会議を再開した県議会12月定例会の一般質問に対する答弁で、馳浩知事は「寄付講座は有効な手段の一つと考えている。県として前向きに検討する」と述べた。

 八田知子氏(自民)に答えた。

 県内には金大附属病院や医王病院、県立こころの病院など17医療機関に、子どもの心を専門とする医師が約40人いる。県も2008年度から、医療、教育、福祉の関係機関とネットワークをつくり保護者の相談に対応しているほか、小児科医や精神科医を対象に研修会、事例検討会を開催するなど拡大する子どもの精神医療を支援している。

 ただ、発達障害などに対する認知の広がりに伴い、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)、摂食障害、うつなど多岐にわたる子どもの心の診療に関しては、予約が取りづらく、診察までの期間が長くなっているとの指摘があった。

 12日の答弁で馳知事は「子どもの心の問題は、専門医ができるだけ早期に発見し、適切な見立てで治療・支援することが極めて重要だ」と強調。寄付講座を通じて専門医を拡充する必要性に理解を示した。

 県によると、児童精神科医の養成制度は21年4月に創設された。富山県は昨年6月、富大附属病院に寄付講座「こどものこころと発達診療学講座」を開設し、児童精神科医や小児科医、公認心理師の育成に取り組んでいる。

 この日の一般質問には打出喜代文(未来石川)、田中敬人(自民)、佐藤正幸(共産)、堂前利昭(自民)、清水真一路(同)の5氏も登壇した。

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