馳知事「アルバムは党費」 五輪招致 贈答否定、説明資料と強調

機密費発言への質問に答える馳知事=石川県議会

 馳浩知事は12日、東京五輪の招致活動を巡って自身のブログに「想い出アルバム作戦」と記述したことに関し、アルバムは自民党費で作ったと述べた。石川県庁で報道陣に語った。内閣官房報償費(機密費)を使って国際オリンピック委員会(IOC)委員にアルバムを贈ったとする11月の発言を修正したのかとの質問には明確な回答を避けた。

 馳氏はアルバムについてIOC委員に面会して招致の意義を説明する際に使う「参考資料」だったと強調。「委員全員のアルバムを作って配ろうとしたが、断念した」と語り、贈答は否定した。

 馳氏は11月17日に東京都内で開かれた会合で、機密費を使ってIOC委員に1冊20万円のアルバムを贈ったと発言し、その後全面撤回していた。

 12日の県議会12月定例会本会議で共産党の佐藤正幸氏から機密費発言に関する質問があり、馳氏は「アルバムは参考資料として数冊作成した」と答弁。これを受け、報道陣の取材に答えた。これまでは「ブログの記載は事実」と述べた以外、アルバムについて一切の説明を避けていたが、一転して当時の詳細を語った形だ。

 馳氏によると、アルバム作戦は、自民党五輪招致推進本部長として自ら発案した。「招致の狙いや意義をIOC委員に伝え、お近づきになるような作戦が必要」として委員の選手時代などの写真を集めたアルバムを党予算で数冊作った。

 当初は100人余の委員全員に渡すつもりで準備したものの、写真1枚当たり2万~2万5千円程度と見積もりが高額だった。IOCの倫理規定に触れる恐れがあることから全員分の作成を断念し、手持ちの資料として活用したという。馳氏は「悪い作戦ではない。アルバムから話に入るとスムーズに耳を傾けてもらえた」とし、使用後は党本部で処分したとも述べた。

 報道陣からアルバム作戦が11月の機密費発言で言及したアルバムと同じかと問われると、いったんは「その通り」と述べたものの、即座に「全面撤回したので言及することはない」と言い換えた。機密費発言については「発言しない」と従来の説明を繰り返した。

 これまでと異なる説明をした理由を問われた馳氏は「皆さんから積み重ねられた意見を踏まえ、きょう議場で指摘を受けたことにお答えした」と述べた。

 自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー裏金問題に関し、安倍派副会長を務めた馳氏は「政治資金規正法に基づいて対応した」とあらためて説明。還流があったかは「詳しくは承知していない。秘書が対応していた」と述べるにとどめた。

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