「寒ぶり宣言」ある?ない? 氷見、議会も心配の声

しけで出漁がなく、寂しい取り引きになったブリ漁=12日、氷見市の氷見魚市場

  ●市、返礼品の代替検討

 氷見漁協のブランド魚「ひみ寒ぶり」の出荷宣言が出ないまま12月中旬を迎えた。12日の氷見市議会では、このまま「宣言なし」とならないか懸念する声が上がった。市では15日までに出なければ、ふるさと納税返礼品で、関連品を希望した人に代替品などの選択を打診する方針を示した。氷見漁協の担当者は「全国的にブリはとれておらず、宣言を出さない可能性もある」としている。

 しけの影響で出漁がほとんどなかった12日、氷見魚市場に運ばれたブリは30本程度で閑散としていた。

 ひみ寒ぶりは、体重などの基準を満たしたブリが対象で、氷見漁協などでは安定出荷が見込めると判断した時点で本格出荷を知らせる「ひみ寒ぶり」宣言を出す。11月20日ごろから12月上旬にかけて出ることが多いが、今季は昨季の11月26日より大幅に遅れている。

 今月は7、8日に千本を超すブリが氷見魚市場に運ばれた。ただ、能登町沖や七尾沖の魚が大半で、氷見沖の定置網にはあまりかからなかった。判定に関わる人からも宣言を検討する声は出なかったという。ブリの大きな群れは通り過ぎたとの見方も出ている。

 この日の市議会本会議では福嶋正浩氏(自民同志会)が一般質問で、ふるさと納税を取り上げ「出荷が不可能になった場合はどうするのか」とただした。石田貢一産業振興部長は、寄付募集時に、ひみ寒ぶりを発送できない場合は代替品の送付や、次年度の送付で対応する旨を案内していると説明した。

 市商工振興課によると、生のひみ寒ぶりの返礼品を希望する寄付は11日現在272件に上る。担当者は「次年度の送付になると今年度の寄付実績にならない。遅くなっても宣言は出てほしい」とあきらめない構えだ。

 過去には1月6日(2021年度)、12月25日(14年度)に宣言が出たこともあり、とりわけ21年度はあきらめムードが大勢のなか、土壇場で群れが氷見沖の定置網にかかった。氷見漁協は本格回遊があれば宣言は出すとし、「宣言なし」と表明することは考えていないとしている。

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