旧統一教会の被害者救済法が成立 財産監視強化、包括保全策見送り

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の本部が入るビル=10月、東京都渋谷区

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に向け、財産監視を強化して解散命令前の流出を防ぐ特例法が13日、参院本会議で可決、成立した。提出した自民・公明・国民民主3党のほか、立憲民主党と日本維新の会、共産党などが賛成した。被害補償の原資となる財産の隠匿・散逸を防ぐことが狙い。包括的な財産保全策の導入は見送られた。実効性が課題となる。

 公布から10日を経過後、順次施行される。監視強化には、宗教法人審議会に諮問した上での指定手続きが必要で、政府は旧統一教会の指定可否について検討を急ぐ。

 特例法は、法令違反などで解散命令を請求された宗教法人が不動産を処分する際、1カ月前までに所轄する国や都道府県への通知を義務付ける。通知がない場合、処分を無効とする。

 通常1年ごとの提出を求める財産目録などの財務書類を、3カ月ごとに提出させる。財産の隠匿・散逸の恐れがある場合、被害者が書類の写しを閲覧できるようにし、透明化を図る。一方、包括的な財産保全策は「信教の自由に抵触する恐れがある」として盛り込まなかった。

開かれた参院本会議=13日午前

© 一般社団法人共同通信社