チーム名に「実は企業や商品の名前が入っている」有名サッカークラブ

Jリーグが今後クラブ名に企業の名前を示す言葉を入れることを許可するかもしれない…という報道が一部メディアによって行われ、Jリーグ側がそれを否定したことで話題になっている。

今回は、実はあからさまに企業名や商品名が入っている世界の有名サッカークラブを取り上げてみよう。たくさんある中で6つをピックアップした。

RBライプツィヒ

企業:レッドブル

業態:エナジードリンクブランド

エナジードリンクを世界的に展開する「レッドブル」は、スポーツの分野でも様々な国で活動している。レッドブル・ザルツブルク(オーストリア)、レッドブル・ブラガンチーノ(ブラジル)、ニューヨーク・レッドブルズ(USA)など。その中で最も特殊な例はドイツ・ブンデスリーガのRBライプツィヒだ。

ドイツでは歴史がある場合など例外を除いて企業の名前をクラブに付けることを禁止しているが、それを回避するために「RB」という言葉をつけた。公式には「RasenBallsport(芝生での球技)」という意味であるが、レッドブルの頭文字と重ね合わせたものである。

2009年に5部のSSVマルクランシュタットを買収して生まれた新しいクラブだが、それから急速に昇格を重ねて2016年にはブンデスリーガ1部に到達。現在ではドイツで3番目に予算が豊富なビッグクラブとなっている。

バイヤー・レヴァークーゼン

企業:バイエル社

業態:製薬会社

ドイツで「原則的に禁止されている」企業名がついたクラブの代表例。レヴァークーゼンに本社を置いているバイエル社の従業員によって1904年に設立されたため、その2つの名前が重なって「バイヤー・レヴァークーゼン」となっている。

クラブの愛称として用いられている「DIE WERKSELF」は「工場の労働者」という意味もあり、バイエル社の従業員が作ったという歴史が反映されている。

なお、ドイツでは他にカール・ツァイス・イエナ(カール・ツァイス社、光学機器メーカー)がワークスチームとして知られている。またヴォルフスブルクも元々は「フォルクスワーゲン」の名前が入っていたが、第2次世界大戦後にクラブ名が変更になっている。

PSVアイントホーフェン

企業:フィリップス

業態:電気機器メーカー

オランダの強豪クラブとして知られるPSVアイントホーフェンは、略称の三文字に企業名が入っている。「Philips Sport Vereniging」にはオランダを代表する電気機器メーカーの「フィリップス」が隠れている。

1910年にフィリップスが従業員の希望に応えるために設立したクラブが元となっており、最初は「フィリップス・エルフタル」という名前だった。そして1916年にPSVという略称に変更されている。

最初の数十年間はフィリップスの従業員のみが所属することができるクラブで、選手としてプレーすると同時に企業のサラリーマンとしても働く…というまさに実業団という体系であったという。

スポルティング・クリスタル

企業:クリスタル

業態:ビールブランド

ペルー屈指の強豪クラブとして知られているスポルティング・クリスタル。あの亘崇詞氏も所属したこともあるチームで、南米王者を決めるコパ・リベルタドーレスにも頻繁に出場している。愛称は「ロス・セルベセロス」。その意味は「醸造所」だ。

元々は1926年に「スポルティング・タバコ」として設立された。もちろんタバコ栽培組合によって作られたクラブであったが、それを1955年にリカルド・ベンティン・ムヒカという人物が引き継いだ。彼は麦酒醸造所のバッカス・アンド・ジョンストンの大株主だったのだ。

その醸造所が製造していたビールのブランド「クリスタル」を名前につけて「スポルティング・クリスタル」として生まれ変わると、1956年のリーグ戦でいきなり優勝。それから現在までペルー屈指のビッグクラブとなっている。

クルス・アスル

企業:セメント・クルス・アスル

業態:セメント製造メーカー

メキシコの首都メキシコシティで2番目に人気を誇る強豪クラブであるクルス・アスル。「アスル」が意味するブルーのユニフォームが有名だ。このクラブ名のベースにあるのが小さなセメント製造会社「セメント・クルス・アスル」だった。

クラブ・アメリカの創設に関わった選手カルロス・ガルセス・ロペスは、サッカーの傍ら歯科医として働いていた。彼が契約していたのがセメント・クルス・アスルという企業だった。

セメント・クルス・アスルを経営していたアメリカ人は当初野球チームを立ち上げようとしていたが、カルロス・ガルセス・ロペスが猛反対し、社内投票の末にサッカーに変更された…というエピソードもある。

トノン・エヴィアン

企業:ダノン・グループ

業態:食品メーカー

世界レベルで「奇妙な名前だ…」と話題になった10名の選手たち

一時期フランス・リーグアンでプレーしていたエヴィアン。その世界的によく知られたミネラルウォーターの名前とドピンクのユニフォームで存在感を示したが、まるで炭酸の泡のように儚く財政破綻の道を突き進んでいった。

2009年にオーナーのダノン・グループが名前に「エヴィアン」を加えると、すぐにリーグ・アンへと昇格。しかし2016年に2部へ降格すると、財政難が発覚したために4部降格を宣告され、クラブは破産した。

ただエヴィアンというのは地域名でもあり、アマチュアからの再建に当たってエヴィアンとトノンの自治体がバックアップしたことで名前だけはそのまま残ることになった。現在は4部リーグのシャンピオナ・ナショナル2を戦っている。

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