領収書不要・収支報告書の記載義務ないパーティー券収入 政治家にとっては“便利なお金”?【チャント!大石邦彦が解説】

愛知3区が地盤の池田佳隆衆議院議員側は、去年までの3年間に派閥から受け取った約3200万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことを認めました。
これは、党から派閥を経て支払われる政策活動費と認識していたとコメントしています。

池田議員に関しては5年間で4000万円以上の不記載が疑われていますが、まず3200万円を認めたということです。

政治家にとっては非常に“便利なお金”と言ってもいいかもしれません。これは、党から政治家個人に寄付される活動費のことなんです。使い道を明らかにしなくていいので、領収書もいらないし、収支報告書への記載の義務もないということなんです。

ただ取材してみると、普通は党から個人に寄付されるものであって、派閥から個人に寄付されるものではないので、その辺の認識はどうだったのかということがポイントになりそうです。

それぞれの派閥で収入源となっていた政治資金パーティーですが、どのぐらいの収入になっているのか。パーティーの収入金額が多い順に並べました。

安倍派は“最大主要派閥”なのにパーティー収入金額は5位…

疑惑の安倍派は5つの主要派閥の中では最下位と少なく見えますが、このデータは政治資金収支報告書をもとにしているので、いわゆる“裏金”に当たるとされる部分が記載されていません。

ではここに過去5年間で総額5億円といわれる不記載分、つまり年平均1億円を足すと、安倍派は2億円近くになるんです。

麻生派に次ぐ2位の収入であることがわかります。

安倍派が最大派閥ということですから、元々5番目だったというのが不自然なのかもしれません。最大派閥となると、パーティー券の販売数、その収入による集金力というものが大きくなります。政治は数だ政治は、数の論理が働くとよく言われますが、やっぱりそれが現れているわけです。

主な派閥の議員数を示してみると、安倍派が圧倒的に多い99人で、他の派閥の倍近くいるわけです。当然これは集金力も高くなってくるということが言えます。

安倍派“最大派閥”ゆえの影響とは?

そして、これだけ人がいると人事にも影響が出ます。安倍派は最多タイの4人で、麻生派と並んでいるんです。

岸田派は上から4番目です。

その岸田派の岸田さんが総理になれたのは、安倍派が協力してくれたからという見方もあって、やはり4人大臣に出していたということです。

ただ、交代させるということになると、他から選ばなければいけないんですが、疑惑でいうと二階派も岸田派も上がっている。

では茂木派・麻生派は大丈夫なのかということになってくると、なかなか人が限られてきます。

無派閥からということになると、無派閥から例えば大臣経験者で、しかもクリーンな人を選ぶとなると、限られた人事になりそうです。

人事、閣僚の交代といいますと、東海三県選出の議員にも影響が出ています。岸田総理は安倍派の閣僚4人と副大臣5人を交代させる方針です。

東海地方からは鈴木淳司総務大臣、青山周平文部科学副大臣、酒井康行経済産業副大臣らは、今年の9月に就任していますが、裏金疑惑に名前は挙がっていないものの安倍派ということで交代となる見込みです。

就任からわずか3か月での交代となると、疑惑に関与していないとすれば非常に本人たちは不本意ではないかと思います。

13日は会期末を迎えるので、捜査が本格的になってくると思いますが、これだけのお金が動くことを国会議員が知らないということはまずあり得ないと。

トカゲの尻尾切りにならないようにしてほしいと思います。

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