富山に根ざす老舗菓子メーカー・日の出屋製菓 コロナ禍で大打撃 コラボ・付加価値商品で起死回生〈連載5〉

1924年(大正13年)2月26日、富山県福光町新町(現・南砺市福光新町)で川合宣之氏が創業した日の出屋製菓産業は来年、創業100周年を迎える。

富山県の東西に製造拠点を構え、あられ・かきもち・せんべいを全て富山米100%で生産している。

現在、展開しているブランドは「日の出屋製菓」「富山柿山」「ささら屋」「SHIRO SASARAYA」「おこめぢゃや」「結いふぁーむ」の6ブランド。

お土産需要や“ハレの日”需要に対応した販路を多くもつ同社は、コロナ禍の外出自粛が痛手となった。ブランドでは、全国の百貨店やギフトコーナーで売られる「富山柿山」や「ささら屋」の直営店が大打撃を受けた。

取材に応じた川合洋平専務は「当社にはコロナ禍の巣ごもり需要はほとんどなく、逆に工場の稼働率がガタ落ちするほど観光系の反応がダメになった」と振り返る。

日の出屋製菓産業の川合洋平専務

同社はこの逆境を乗り越えるべく、従来から種まきしていた高付加価値路線を加速。スーパー・量販店に卸している「日の出屋製菓」ブランドを縮小し、縮小した分の経営資源をコラボ商品の展開に充てる方針へと舵を切った。

コラボ商品の好例は以下の通り。

――老舗旅館・加賀屋とのコラボ商品「海苔巻あられ」
――旭ポンズとのコラボ商品「旭ポンズアラレ」
――「白えびビーバー」で知られる北陸製菓とのコラボ商品「北陸白えび米菓詰合わせ」
――富山県高岡市出身の藤子・F・不二雄氏の代表的なキャラクター「ドラえもん」とコラボした「ドラえもん しろえび紀行」

これらのコラボ商品による高付加価値路線の展開に加えて、2021年3月に「SHIRO SASARAYA」ブランド、22年3月に「おこめぢゃや」ブランドを立ち上げたことが奏功して「業績は22年の時点でコロナ前よりも良くて、今年に入ってさらにグイっと上がっている」という。

コロナ禍を契機にサンクゼールが展開する久世福商店の留め型商品も展開開始して好調に推移している。

今後については「自社販路をたくさん持たせていただき、直営店もあることから、これからは価格よりもコラボ商品を含め価値で勝負するような商品をもっと加速させていく」と意欲をのぞかせる。(つづく)

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