「京檸檬」ブランド化へ 売りは上品な苦み 大手酒造メーカーも商品化

京檸檬としてブランド化が進められている京都府内産のレモン(府提供)

 京都府の農家や企業などが府内産レモン「京檸檬(れもん)」のブランド化を目指している。本格的に生産を始めて5年が経過し、ようやく生産が軌道に乗り始め、果汁などを取り入れたチューハイも大手酒造会社から発売された。「京野菜」に並ぶ農産物として知名度を高めようと、夢を膨らませている。

 ブランド化を進めるのは2018年に設立された京檸檬プロジェクト協議会。加工品にも使いやすいレモン栽培を広げ、耕作放棄地の活用や新規就農者の呼び込みにつなげることが目的だ。現在、舞鶴市から南山城村まで9市町村の農家24人が約2.5ヘクタールで育てている。黄色に熟す前の青い果実を収穫し、控えめな酸味と上品な苦みを「売り」にしている。

 レモンの国内産地として瀬戸内地域が知られているように、栽培には温暖な気候が適しており、寒暖差が激しい府内は好ましくないとされてきた。実際、当初は府内では年間数百キロしか収穫できなかったが、農家同士でノウハウを共有するなどし、22年は1500キロ、23年は2千キロと拡大することに成功した。

 一般に流通させられるほどの生産量には至っていないが、加工品としては消費者に渡り始めている。協議会に参加する酒造大手の宝酒造(京都市下京区)が、果皮から種まで丸ごと使用したチューハイ「寶(たから)CRAFT<京檸檬>」(330ミリリットル、400円)を11月から府内中心に発売を開始。同社は土産物としての購入も期待しており、協議会のアドバイザーを務める京都府の西脇隆俊知事は「甘い香りと苦みがマッチし非常においしい」と太鼓判を押す。

 チューハイの売り上げの一部は協議会に寄付され、さらなる生産拡大に活用される。協議会の村上和彦代表理事は「栽培した京檸檬の『出口』ができたのは生産者にとって非常に大きい。まだまだ京都産の柑橘類は知られていないが、しっかりと実績を積み、いずれは全国で販売したい」と意気込む。

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