ふるさと納税の返礼品は「一日町長」 100万円寄付した52歳男性に“本物の町長”も大喜び ランチに絹姫サーモン 夜は飲み会

愛知県設楽町がことし10月に始めたのは、100万円以上の寄付で「一日町長」になれるふるさと納税の返礼品。
12月12日、設楽町の一日町長に任命されたのは、愛知県瀬戸市に住む兒嶋広彦さん52歳です。

町役場の全職員から拍手で迎えられて花束を渡され、特別な一日が始まりました。

(設楽町・土屋浩町長)
「1人でも申し込みがあったらいいなと本当に思っていたんですが、いらしていただけたので本当に感謝です」

山間部にあり、人口4000人あまりの設楽町は昨年度、ふるさと納税の寄付額が約890万円。少子高齢化が進む中、年間2000万円の寄付を目標にこの返礼品で収入アップと知名度アップの両方を狙っているのです。

さっそく町長のイスに座った兒嶋さん。一体なぜ高額の寄付を決めたのでしょうか?

(兒嶋広彦さん)
「ふるさとですし、どこかで恩返ししたいという気持ちがあった」

兒嶋さんは、生まれが愛知県設楽町。高校進学と共にふるさとを離れ、現在はみよし市などで人材派遣会社などを経営しています。

設楽町には空き家になった実家の様子を年に何度か見に行く程度でしたが、ことし8月、数年ぶりに地元の伝統的な祭りに参加した際、後輩たちの姿を通して「ある思い」が芽生えたと言います。

友人に相談すると…とんとん拍子で「1日町長」が実現

(兒嶋広彦さん)
「昔から続く祭りを継承して頑張っている後輩を見ていると、外に出た人として(ふるさとを)応援できることをするべきではないかと」

そして、思い切って町役場の友人に寄付について相談したところ、とんとん拍子で話が進み、12日に「一日町長」が実現したのです。

役場を一通り回った後は、町長専用の運転手付き「公用車」に乗り込み…

2034年度の完成を目指し、総事業費3200億円で国が進める設楽ダムの建設現場へ。

「一日町長」としての視察ということで、特別にダンプに乗り込んだり、一般の見学ツアーでは見られない現場にも。

(兒嶋広彦さん)
「なかなか橋梁の上まで見られることはないので貴重な体験をさせて頂いた」

そして、ランチは設楽町で養殖が盛んな絹姫サーモンなど地元の食材に舌鼓。ふるさと納税の制度では寄付額の3割を返礼品にすることができ、今回は飲食代や宿泊費などに充てられます。

午後は”兒嶋町長”希望の特別スケジュールが…

(兒嶋広彦さん)
「(近くを)通ることはあっても中に入ることはないので(昔とは)だいぶ変わっていると思う」

向かった先は兒嶋さんの母校。

約20年前に閉校になった中学校や、校舎の建て替えで昔の面影がなくなった小学校に足を運び、当時の生活に思いをはせながら、教育行政の現場を「視察」。

そして夜は…

兒嶋さんを「一日町長」に突き動かした地元の後輩たちとの宴会。

一日町長として是非ねぎらいたいとの気持ちから、古民家に8人を招き地元の酒を片手に町をどう盛り上げていくか語り合いました。

(地元の後輩)
「若い頃は『(地元から)出た者勝ち』って思っちゃった所はあった。(今は度々)会えるからうれしいし、自分も頑張ろうと思える」

(兒嶋広彦さん)
「この町を守っていくのは町に住んでいる人。自分は住んでいない分、できることがあると思うのでこれからも(支援を)していきたい」

変わりゆく町並みと変わらない地元の絆。兒嶋さんにとってふるさと・設楽町の魅力を改めて発見した一日になったようです。

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