突然胸や背中に激痛走り死亡も、大動脈解離は特に冬注意 笑福亭笑瓶さんら死因、高血圧でリスク高く

大動脈解離の症状/発症のメカニズム

 今年亡くなったタレントの笑福亭笑瓶さんや、シンガー・ソングライターのもんたよしのりさんの死因とされる「大動脈解離」。福井循環器病院心臓血管外科部長の樫山紀幸医師によると、突然、胸や背中に経験したことのない激しい痛みを感じ、突然死の原因にもなる。病院に到着する前に死亡するケースも多いという。冬場は夏場よりも発症しやすく、特に注意が必要だ。

 大動脈解離は、大動脈の内膜に亀裂ができ、さらに中膜が剝がれるように裂けてできた空間(偽腔)に血液が流入した状態。解離が起きてから2週間以内の時期を「急性大動脈解離」と呼ぶ。樫山医師によると、発症率は10万人あたり3~10人といわれ、ピークは70代で男性に多い。

 原因は、高血圧などで血管に負荷がかかる力学的な要因と、生まれつき血管が脆弱な遺伝的要因(マルファン症候群など)がある。高血圧や糖尿病、コレステロールの数値が高い人、喫煙者などは発症リスクが高くなる。若年層でも睡眠時無呼吸症候群による高血圧で発症するケースがあり、樫山医師は「どの年齢層でも発症する可能性がある」と指摘する。

 また、冬場は室内外の温度差が大きく、血圧が乱高下しやすいため、日中(午前6時~正午)を中心に発症者が多くなる傾向があるという。

⇒【さらに詳しく】大動脈解離を防ぐには…福井循環器病院・樫山紀幸医師が解説

© 株式会社福井新聞社