勇気ある大学生の行動が命を救いました。
今年10月、愛媛県松山市の聖カタリナ大学で一時、心肺停止となった高齢の男性に救命措置を施した学生たち。見事な連携で命を救ったとっさの行動とは…
清掃員の60代男性が突然…
(2年生・橋元深緒さん)
「『ここにいる人たちで救わないといけない』みたいな気持ちは、みんなあったのかなと思います」
松山市中心部にある聖カタリナ大学松山市駅キャンパス。10月24日の午後6時半ごろ、清掃員の60代男性が突然、廊下で倒れ込みました。
(2年生・乗松凜さん)
「トイレに行こうとしたら倒れている方を見つけて」
発見したのは、心肺蘇生法などに関する資格を持つ看護科の2年生。男性は呼吸をしておらず、脈もなかったため、すぐに119番通報をして、心臓マッサージを始めたといいます。
(2年生・橋元深緒さん)
「不安と怖さはずっとありました。『自分がしないと』という感じでした」
学生たちは役割分担をして、AEDを準備したり症状や時間の経過を記録したりと懸命な措置にあたりました。現場に駆けつけた看護科の教員は学生たちの迅速な対応に驚いたと振り返ります。
(看護科教員・木原知穂さん)
「ここまでできるのかと思ったのと、冷静な判断をして動けた彼女たち、彼らに尊敬の気持ちでいっぱいです。誇りに思っています」
男性は心肺停止の状態になるも…
とっさの行動で男性の命を救った学生らに14日、松山市消防局から感謝状と盾が贈られました。
倒れた男性は一時、心肺停止となったものの、その後、無事回復し退院したということです。
(2年生・橋元深緒さん)
「命を繋げられて良かったなと思いました。(将来は)落ち着いて対応や、声かけができるような看護師になりたいと思いました」
今回のように倒れている人を見つけたらどう対応すればいいのか、松山市消防局の救急救命士に聞きました。
1:倒れている人に声をかける
(松山市消防局・救急救命士・六車昌起さん)
「まずは呼びかけてみて、反応があるかないかを確認します。呼びかけに対する動きであったり、声が出るかを中心に確認してください」
2:周囲に助け求め役割分担
(六車さん)
「今回の聖カタリナ大学の事例のように、連携プレーでチームワークを発揮して行うことが、何より大事」
3:心臓マッサージ胸の真ん中を垂直に5センチほど押し込む
(六車さん)
「自分の体重をかけてということになるんですが、胸の真ん中を、垂直にしっかりと5センチほど押し込むことが大事になります」
4:素早くAEDを使用
(AED音声)「ショックを実行します。オレンジボタンを押してください」
(隊員)「ショック実施します。周囲よし!ショック!」
(AED音声)「ショックが完了しました。胸骨圧迫開始します」
(松山市消防局・救急救命士・六車昌起さん)
「焦ってしまったり、ドキドキしたりは我々救急隊でも一緒です。今回の学生のように、勇気をもって行動することが大事だと思います」
少しの勇気で生存率が2倍に
総務省によりますと、2021年に心肺停止の状態で見つかった人は、全国でおよそ2万6500人に上ります。
すぐに心臓マッサージなどを施されたケースでは、施されなかった場合と比べ生存率が2倍ほど高くなるということです。
少しの勇気で助かる命があるかもしれませんね。