【香港】公務員締め付け、行動規範改正で一層強化へ[政治]

香港政府公務員事務局は13日、公務員行動規範(服務規律)の改正原案を発表し、意見公募(パブリックコメント)を始めた。行動規範の改正は2009年以来。20年6月の香港国家安全維持法(国安法)施行を踏まえ、現行の行動規範にはない「国家安全」を重要原則に据えたほか、政府の政策への批判禁止を明文化している。国安法施行後、忠誠宣誓の義務化などで進んだ公務員への締め付けが一段と強まるのは必至だ。

行動規範の改正原案は、国家安全の重視を前面に打ち出した。市民の模範として国家の安全を守る職責を果たし、国家安全の概念と国安法の条文への理解を深めるよう要求。香港基本法(憲法に相当)と国安法の規定に従い、国家の安全に危害を与える行為や活動を断固として防ぎ、香港政府による国家安全維持の責任履行に全面的に協力する義務を公務員に課す。

締め付けの象徴ともいえる規定の一つが、政府の政策批判禁止だ。全ての公務員は、香港政府の政策と決定、行動を推進し実行しなければならないと定めた上で、インターネット上や交流サイト(SNS)上を含め、公務員の立場で政府の政策を批判したり、政府に反対する者を支持したりすることを禁止する。公務員は行政機関の構成員であることを自覚し、市民に政府への疑問を抱かせてはならないと規定している。

現行の行動規範にある「政治的中立」の項目は改正原案にもあるが、現行版にはない「公務員の政治的中立は、国家と香港特別行政区への忠誠が前提」などの文言が加えられた。さらに「過去には『政治的中立』の意味を曲解した者がおり、公務員はこのことをよく認識し、警戒しなければならない」と規定した。「政治的中立」の名の下に公務員が政府の方針などに異を唱えたりしないようくぎを刺した形だ。

公務員事務局の楊何バイ茵(イングリッド・ヨン、バイ=くさかんむりに倍)局長は13日の会見で、行動規範改正の2大目標として◇中国憲法と香港基本法によって構成されている香港の政治体制の基礎と秩序を公務員にはっきり理解させること◇社会の発展と市民の期待に応えること——を挙げた。改正原案への意見は24年1月19日まで、電子メールまたは郵送で受け付ける。

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