〈刷新 だれに 志賀町長選〉迫る開戦、PR合戦 公開討論会や地域回り

  ●稲岡氏「首長評価制を導入」

  ●高岩氏「任期は3期までに」

  ●南 氏「前町政を改善する」

 贈収賄事件で前町長が逮捕、辞職したことに伴う志賀町長選は14日、告示の19日が迫り、立候補を予定する3氏のPR合戦が熱を帯びた。前町議の稲岡健太郎氏(46)と前金沢市議の高岩勝人氏(56)=表明順=は羽咋青年会議所(JC)が主催した公開討論会で掲げる政策などを強調。前町議の南政夫氏(59)は討論会を欠席して地域回りに専念した。それぞれが事件で失った町政の信頼回復に取り組む姿勢をアピール、開戦へ火花を散らした。

 町文化ホールで開かれた討論会は約270人(主催者発表)が傍聴した。

 稲岡氏は「今こそしがらみのない町政に生まれ変わらなければ町の未来はない」と出馬を決意した理由を説明。町長評価制度の導入による給与削減や給食費の完全無償化など子育て施策の充実を掲げた。

 高岩氏は金沢市議を務めた実績を訴え、「金権体質、談合政治からの脱却と新しい発想でまちを元気にする」と意欲を示した。IT企業や高等教育機関のキャンパス誘致、町長任期を3期までにするとした。

 質問し合う時間には、互いの「弱み」を指摘する場面もあった。

 稲岡氏は高岩氏に、東京五輪招致に関する馳浩知事の発言に触れ、近いとされる知事との関係を尋ねた。高岩氏は「説明責任を果たさず、政治家として不誠実。今回の選挙では連絡を取っていないし、知事に構っている暇はない」と語った。

 一方、高岩氏は事件を受け稲岡氏を含む町議がチェック機能を果たしていなかったと指弾。稲岡氏は「責任は感じている。議会の機能を確立し、第三者機関で再発防止に取り組むべきだ」と強調した。終了後に握手で健闘を誓った。

 南氏は討論会が開かれている時間帯に地元の加茂、下甘田両地区で集会を開き「事件の悪い雰囲気を払拭し、新しい町をつくりたい」と呼び掛けた。

 下甘田多目的集会所では約80人を前に「前町長がしてきたことは悪いことばかりではない。評価できる政策は充実させ、改善すべきところは正していく」と訴え、コミュニティーバスやデマンドタクシーの増加など公共交通の充実に力を入れるとした。

 討論会に出なかったことについては取材に「知名度を上げるため地域に出向くことを優先した」とした。

  ●ポスター掲示場設営作業始まる

 志賀町選管は14日、町長選の候補者ポスター掲示場の設営作業を始めた。18日まで町文化ホール前など158カ所に取り付ける。掲示板は縦0.9メートル、横1.8メートルで6候補分の枠を設けた。

討論会で自身の考えを話す稲岡氏=志賀町文化ホール
討論会の壇上で政策を語る高岩氏=志賀町文化ホール
集会で町民に支援を求める南氏=志賀町下甘田多目的集会所

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