火葬後の「残骨灰」売却へ 長崎市、県内自治体で初 斎場の利用環境向上の経費に

 長崎市は来年度から、もみじ谷葬斎場(淵町)で故人を火葬した後の遺骨や灰「残骨灰」を売却する方針を明らかにした。長崎県内自治体で初めて。残骨灰の中に含まれる貴金属の価格上昇を背景に、死者の尊厳や遺族の心情に配慮し、厳しい財政改善につなげる狙い。市は売却額を年間2500万~3千万円と見込む。
 14日の定例市議会総務委員会で市市民生活部が説明した。
 火葬後、遺骨を骨つぼに納めた後に残る残骨灰の中には、歯の治療などで使われた金や銀、パラジウムなどの貴金属が含まれる。
 市によると、昨年度の残骨灰は約21トン。市が委託した処理業者が遺骨を寺などで埋葬、供養し、灰は適正に処理。貴金属の扱いは業者の判断に委ねていた。市は来年度以降、従来通りの遺骨供養と灰の処理を条件に、残骨灰を業者に売却する。業者は抽出した貴金属を売ることができる。
 残骨灰の売却を巡り、近年、他自治体でも同様の動きが広がっている。市は「遺族の心情に配慮し、葬祭事業者など関係者の意見を聞いて進めたい」と説明。売却で得られる収入は、同斎場の利用環境向上のための経費に充てる方針。

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