【CLグループE総括】本命アトレティコが首位通過、鎌田ラツィオ日本人三つ巴の争い制す

アトレティコとラツィオが決勝T進出[写真:Getty Images]

アトレティコを大本命に、ラツィオ、フェイエノールト、セルティックの3チームが残り1枠を争う格好となったグループE。本命のアトレティコ以下はいずれも接戦の印象が強かったものの、経験とスカッドで勝るラツィオが三つ巴の争いを制した。

■順位表■
[勝ち点/勝/引/負/得失点]
1.アトレティコ[14/4/2/0/11]
2.ラツィオ[10/3/1/2/0]
3.フェイエノールト[6/2/0/4/-1]
4.セルティック[4/1/1/4/-10]

◆思わぬ取りこぼしも無敗で首位通過~アトレティコ~

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戦前は苦戦も予想されたが、攻守両面で頭一つ抜けたパフォーマンスを披露し、無敗での首位通過を決めた。

昨季後半戦からの好調を維持し、ラ・リーガでも安定した滑り出しを見せたシメオネのチームはCLの舞台でも幾つか隙を見せる場面はあったものの、危なげない戦いを見せた。最大のライバルと目されたラツィオとの初戦では敵地から勝ち点3を持ち帰ることが濃厚と見られた後半ラストプレーでGKプロベデルに痛恨の同点ゴールを許すショッキングなドローとなったが、ホーム開幕戦となったフェイエノールト戦をFWモラタの2ゴールの活躍などで勝ち切って初勝利。

その後のセルティックとの連戦では初戦を引き分けたが、ホームでのリターンマッチでは相手の序盤の退場を活かして6-0の圧勝。さらに、フェイエノールトとのアウェイゲームに完勝し、1試合を残しての決勝トーナメント進出を決定。さらに、最終節ではラツィオとの首位攻防戦に完勝し、公式戦でホーム20連勝を達成すると共に首位通過を確定した。

以前からの堅守をベースに今大会ではモラタとFWグリーズマンがいずれも5ゴールずつを挙げるなど攻撃の破壊力も印象的。懸念されたFWカラスコの穴もFWサムエウ・リーノやFWリケルメの若手がきっちり埋めており、決勝トーナメントでも久々の躍進が期待されるところだ。

◆リーグ戦の不振とは裏腹に勝負強さを発揮~ラツィオ~

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アトレティコには水をあけられた印象も、三つ巴の争いを制した2位通過を決めた。

昨シーズンのセリエA2位チームはMFミリンコビッチ=サビッチが流出したものの、MF鎌田大地、MFゲンドゥージ、FWカステジャノス、FWイサクソンら手薄なポジションに実力者を迎え入れて今シーズンをスタート。しかし、選手の好き嫌いの激しさに加え、戦術適応が難しいとされるサッリ監督の下でその新戦力はいずれも存在感を発揮できず。また、負傷者や主砲インモービレのパフォーマンス低下によって国内リーグでは中位以下に低迷。

それでもCLの舞台では前述の守護神プロベデルの劇的同点ゴールを始め、2節のセルティック戦ではFWペドロの後半アディショナルタイムの決勝ゴール、以降のフェイエノールト、セルティックとのホームゲームでは悩める主砲がいずれも決勝点を挙げる活躍をみせ、見事に接戦をモノにした。

ただ、リーグ戦同様に全体のパフォーマンスは厳しいものがあり、どの試合でも“サッリ・ボール”と称されるポゼッションスタイルを発揮し切れず。今冬の移籍市場などで大きなテコ入れを行わない限りは決勝トーナメントでは厳しい結果が待っているかもしれない。なお、鎌田は3試合の先発を含め5試合に出場したが、ポジション奪取に繋がるようなアピールはできなかった。

◆堂々たるパフォーマンスも勝負強さ欠く~フェイエノールト~

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2017-18シーズン以来の参戦となった昨季エールディビジ王者だったが、3位でヨーロッパリーグ(EL)決勝トーナメントプレーオフに回ることになった。

昨季優勝に貢献した主力の慰留に加え、FW上田綺世、MFイバンシッツ、MFステングスら前線を中心に実力者を迎え入れた智将スロット率いるチームは、久々のCLの舞台でもある程度自分たちのスタイルを貫くことに成功した。主砲ヒメネス不在で臨んだ敵地でのアトレティコ戦、3-1のスコア以上に力の差を見せつけたホームのラツィオ戦と傑出したパフォーマンスも披露した。

ただ、0-1で競り負けたラツィオ戦、土壇場被弾で敗れた最終節のセルティック戦を筆頭に決めるべきところで決める、耐えるべきところで耐えるという勝負どころでやや甘さを見せた結果、悲願の決勝トーナメント進出にわずかに届かなかった。それでも、チーム、個人として得た経験は大きく2年連続の参戦となるELの舞台での躍進に期待したい。

なお、CL初参戦となった上田は初先発を飾ったアトレティコ戦やラツィオとのアウェイゲームでゴールに迫る場面を作ったが、CL初ゴールはならなかった。

◆意地の1勝も壁を越えられず~セルティック~

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最終節で6シーズンぶりの勝利を挙げるも、最下位での敗退に。

国内3冠を達成したポステコグルー監督が去り、再任のロジャーズ監督の下で新たなフェーズに入ったセルティック。組み合わせを考えれば、十分に突破の可能性はあったが、やはり欧州最高峰の舞台は甘くなかった。

フェイエノールトとの開幕戦を2人の退場者を出す自滅で落とすと、2節も土壇場の失点で逆転負け。奮闘したアトレティコとのホームゲームでは勝ち点1を手にしたが、その後の連敗で敗退が決定した。それでも、最終節では土壇場で同点に追いつかれたなか、後半アディショナルタイムのDFラガービエルケの値千金のゴールによって意地の勝利を挙げた。

なお、日本人選手では登録外となったDF小林友希を除き、FW古橋亨梧、FW前田大然、MF旗手怜央、DF岩田智輝の4人がプレー。全試合に出場した古橋を除きいずれも負傷に悩まされたなか、古橋はラツィオ、アトレティコ相手にゴールを記録し、前田はアトレティコ戦で無念の一発退場も1アシストを記録している。

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