コロナ禍明けの忘年会 幹事に戸惑う若手社員 慣れないマナーや店選び…飲みニケーションのいま

県内も“新型コロナ明け”で忘年会シーズンを迎えている=長崎市銅座町、ながさき鉄板赤目

 “新型コロナ明け”で迎える初の忘年会シーズン。4年ぶりに開く職場も多いようだ。本紙報道部も今月予定しており、「1年生」記者の私たち2人が幹事を任された。振り返ると、大学生活の大半がコロナ禍で、大人数の飲み会経験はほとんどない。幹事ってどうやればいいの…。きっと同じような悩みを抱える若手も多いはずだと思い、同世代に話を聞いてみた。

 県内金融機関に勤める男性(23)は「幹事はすごく大変。これも業務なのか」とため息をつく。「幹事は若手」が職場のルール。上座はどっち? あいさつは誰にお願いすれば? 頭の中にたくさんの「?」が浮かぶ。「飲み会は責任が伴うし、仕事のようなもの。上司も若いころは苦労しただろうな」とつぶやいた。
 地元長崎を離れて東京都内で働く女性会社員(23)も任された。年齢が近い入社2、3年目の先輩を頼ろうにも、コロナ禍入社のため幹事は未経験で「何も知らない」。「チェーンの居酒屋じゃ、学生みたいでだめだろうし…」と1人で店選びに苦心していると、入社8年目の先輩が助け舟を出してくれた。
 飲み会自体へのスタンスもさまざまで、本県出身の女性会社員(23)は「その場の立ち居振る舞いが分からない」と困惑。大学時代も自分の時間が欲しくてサークルにも入っていなかったという。一方、元剣道部で“体育会系”の男性会社員(23)は「飲み会が好きだから幹事も苦じゃない。若いうちにいろんな経験をしておきたい」と前向きだ。
 若手以外が幹事をすることも。「昔は飲み会でコミュニケーションを取るのが当たり前だった」。そう語るのは50代男性。管理職を務める会社は若手の忘年会参加率が低く、幹事は課長が担当する。「寂しいけど強制できない時代だから」。言葉に哀愁がにじんだ。
 働き方に詳しい長崎市の社会保険労務士、堀江武志さんは「社会経験が乏しい新人には幹事を重荷に感じる人もいる。普段から飲み会に参加しやすい職場作りが重要だ」と助言する。
      ■
 今年4月に入社した私たち2人も、大人数の会社の飲み会は初めて。実は今月初め、予約した店を下見に行き、一つ上の先輩と一緒にビールの注ぎ方も練習してみた。準備は万全…だと思う。
 飲み会は大切な社内交流の場で、普段は見えない上司の一面に気付くことができるかも。そんな“飲みニケーション”の意義を理解する半面、私たちはコロナ禍を経て、お酒や会食を伴わない職場関係にも慣れてきた。これからのコミュニケーションの形とは-。忘年会に集う先輩や上司たちと、そんなことも語り合ってみたい。


© 株式会社長崎新聞社